暴徒化する若者と女性の行進 トランプ就任のアメリカを追う
かすむ就任式
一進一退を繰り返し、時間が経つにつれデモ隊の数も警官たちの数も膨れあがった。 路上のリムジンに火が放たれた。デモ隊の間に割って入ろうとした警察車両が投石で窓ガラスを割られ、全速力で来た道を戻って行った。マイクを握ったTVリポーターがデモ隊と警官隊の間に入り、緊張した表情で現場の状況を伝える。 ここはアメリカの首都のど真ん中で、大統領就任式当日に起こっている事だ。ヘルメットとガスマスクを被り、爆発するスタングレネードと催涙スプレーの嵐の中でカメラを構えていると、一瞬それを忘れてしまいそうになった。混沌とした今のアメリカを象徴するような光景だった。
一夜明け
暴力的な反トランプ・デモから一夜明け、外に出るとあたりはピンク一色だった。今日は、女性やマイノリティの人々の権利や平等を訴える「Women’s March」の日だ。 全米各地から100万人近い人々が集まるという。様々なメッセージが書かれたサインを持った女性たちやその家族で、道も地下鉄の駅も埋め尽くされている。 女性を軽視する発言でも何かと話題に上がるトランプ氏だ。それもあってか氏の発言を上手く皮肉った、ユーモアあふれるメッセージを持つ女性も多い。この辺りにアメリカ女性の強さを感じる。女性ならではの意見や考えの示し方で、昨日とは違った平和的な抗議のスタイルだ。
レズビアンのキス
「Women’s March」に参加するために全米から集まった女性たちで、東京の通勤ラッシュ並みに地下鉄は混雑していた。やっと街の中心部につき、一昨日訪れたリンカーン記念堂に足を向けてみると、驚くような人の数だった。右も左も自分達の主張を掲げる女性たちで一杯だ。 同性婚や男女の権利平等に反対してトランプ氏を支持するグループと女性たちが言い合いをしていた。「男女平等はまやかしだ」というサインを持った白人男性の目の前で、若いレズビアンのカップルが抗議するようにキスをした。