キャストも脚本も監督も超一級品…Netflix「地面師たち」が地上波ドラマを圧倒して変わる風景
視聴者が大移動か
地上波のプライム帯(午後7~同11時)の1時間ドラマ(実質47分)は制作費が平均約3,000万円。一方、Netflixの47分作品の制作費は1億5,000万円前後。地上波作品がクオリティでNetflix作品と肩を並べるのは残念ながら無理なのだ。 その上、この作品のレーティング(年齢区別)は16歳以上なので、アンダーグラウンドの世界なども遠慮なく描ける。一方で地上波は子供にも観られるようにしなくてはならないから、大人が観ると物足りなくなってしまう。 TVerの普及によって地上波のドラマの未来はバラ色という向きもあるが、そんなことはないだろう。いくら観られる機会が増えようが、面白くないものは観てもらえない。Netflixなどの動画のほうが魅力的だったら、視聴者はそちらへ流れる。 日本を代表する脚本家の坂元裕二氏(57)は昨年、Netflixと5年契約を結んだ。脚本家・宮藤官九郎氏(54)を世に出し、「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)や「不適切にもほどがある!」(2024年)をプロデュースした元TBSの磯山晶氏(56)も7月にNetflixと5年契約を結んだ。 おそらくNetflixへの人材流出は今後も続く。制作者にとって、ふんだんな制作費は大きな魅力だからである。 「地面師たち」の大ヒットは視聴者が地上波から動画へ大移動するターニングポイントになるのではないか。 高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ) 放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年にスポーツニッポン新聞社に入社し、放送担当記者、専門委員。2015年に毎日新聞出版社に入社し、サンデー毎日編集次長。2019年に独立。前放送批評懇談会出版編集委員。 デイリー新潮編集部
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