幼い娘3人を殺した29歳母親は“責任感が強く真面目”…「子殺しをする親」の多くが陥る心理状態とは|ルポライター・杉山春さんに聞く
この世には、さまざまなルートで幸せになる方法がある
「育児には正解はない」という言葉がある一方、多くの「親ならばこうあるべき」が存在する日本社会。遠矢被告の「理想とする母親像に及ばない」という自責の念は、こうした抑圧的な環境の中でさらに大きくなっていったという見方もできるかもしれません。 「子どものために自分をすり減らし犠牲になってこその親だと考えている人も少なくないでしょう。親は『つらい』ということを表に出してはいけないという考え方もありますね。でも親こそ、自分が何かを感じとることを、自分自身に許すという意識を育てることが大切なのではないかと思います」 杉山さんは「親子や家族の関係は、必ずしも絶対視するべきではない」という発想が、むしろ健全な親子関係を構築すると語ります。 「最近は『毒親』という言葉で親の責任を強化するような風潮もありますけど、『わが子の人生の責任は自分にある』という考えにとらわれるのではなく、親自身も追いつめられる時だってあるし、いろいろなものに出会いながら幸せに生きるべき。たとえ理想とする親像に自分がなれなくても、それによって子どもの人生が失敗するかというとそうではない。 人間は親だけでなくいろいろな存在によって形成されていくものなので、子どもとの関係が思い通りにいかなくても、よそで他の人といい関係性を築ければそれはそれでいい。親子や家族関係によってだけでなく、この世にはさまざまなルートで幸せになる方法があるのだ、という考え方が社会にもっと広まってほしいと思います」 <取材・文/菅原史稀>
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