パリ五輪「グッズ在庫セールに大行列」「五輪マークも飾りっぱなし」まさかの“五輪ロス”なパリを巡ってみたら…「セーヌ川はやっぱり汚かった」
グッズも用具も徹底的に在庫一掃・再利用
徹夜で並んだ人もいて、18時で終了の予定だったが、まだたくさんの人が入場を待っていて延長された。もうマスコットなどのグッズはほとんど残っておらず、ボランティア用のTシャツや帽子などが主に売られていた。そのほか会場の案内看板などあらゆるものが無料で配られ、中には、会場のテントに運び込もうとする前に人だかりができて奪い合いになったものもあった。 この催しは、パリ2024の“総合循環経済戦略”の一部である。競技会場の120万点のスポーツ用具のうち4分の3はレンタルで、4分の1は国立スポーツ庁(ANS)の資金提供を受けて組織委員会が購入した。これらは大会終了後、各競技連盟を通じて全国に分配された。 たとえばプールはプレハブ式で、50mのものは解体されてパリ近郊の倉庫に保管されており、現在パリ郊外のセヴランに建設中のプールに設置される。 エッフェル塔の下のビーチバレーボール競技場の砂は、パリ郊外の大きな公園4カ所に分散された。柔道の畳やレスリングのマットはもちろんのこと、ハンドボールやバレーボールなどのコートの床面も、各地の体育館に贈られた。 BMXフリースタイルコースはパーツに分解されて、2027年に世界自転車競技選手権がおこなわれるクルーズ市に移された。
コンドーム配布は23万個
スポーツ用品以外の備品の90%はレンタルで、購入したものはすべて寄贈または売却される。地方公共団体、企業、スポーツ連盟、NPOなどを対象に販売サイトが設けられた(https://secondevie.paris2024.org/search)。サイトをのぞくと、防犯カメラ、受付テーブル、イス、バケツ、屑籠、事務用品、車止め……あらゆるものが並んでいる。 選手村の5万4000個の家具、9000個のマットレス、1万1000個の枕は福祉団体に寄付された。段ボールベッドは再生工場で段ボールの箱にされた。ちなみに用意していた無料コンドームの数は23万個でリオデジャネイロ大会に続いて歴代2位だったが、余りは出なかったとか。 予算を守る。これが、パリで開催するうえでの至上命題だった。 東京五輪は無観客で開催された。つまり、チケット収入が消えた。そのぶんは公費で補填、つまり税金が使われるということになる。もしパリだったら、IOCのバッハ会長が何を言おうと、間違いなくそれが分かった時点で即中止だっただろう。
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