パリ五輪「グッズ在庫セールに大行列」「五輪マークも飾りっぱなし」まさかの“五輪ロス”なパリを巡ってみたら…「セーヌ川はやっぱり汚かった」
素直に喜んでしまったフランス人
「批判的人間」こそ期待される人間像であるはずのフランス人が、素直に喜んでいたのだ。 オリンピック閉会式の翌日の編集部論説・社説では、右派の《ル・フィガロ》も「分裂し、硬直し、ボロボロになった国フランスは、今大会の間自信に満ちて誇らしげであった」、左派系の《リベラシオン》も「私たちの至福を受け入れよう、パリは、このオリンピック期間中ほど美しく快かったことはない」と、最大級の称賛を述べた。 《リベラシオン》は、「あらゆる社会階層、世代、性別、アイデンティティ、出自の人々が敵意や憎しみなしに混ざり合っていた」という。たしかに、今年のパリの夏には、戦争・差別・憎悪に揺れる世界とは別の空間が生まれていた。
オリ・パラのチケット販売は1213万枚
この熱は、パラリンピックにもつづいた。パリ市民は、テレビで見たオリンピックの感動を実感したいと競技場に殺到した。 スポーツ・オリ・パラ省によれば、今大会のチケットはオリンピック955万6792枚、パラリンピック257万5855枚、合計1213万2647枚が売れた。歴代五輪の最高記録である。パラリンピック閉幕前日の9月7日にスタッド・ド・フランスで行われたパラ陸上競技には、6万7500人の観客が集まった。 競技だけでなく、気球の聖火台を間近で見るための整理券26万枚も、数時間で完売したという。 10月12日に、パリ市役所前広場でGrandes Braderies des Jeux2024(五輪ビッグセール)が行われた。 市役所の飾りはまだそのままで、大会期間中にはパブリック・ビューイングとスポーツ体験の場だった広場は、今も子供のスポーツ体験会場となっている。これはいわば在庫一掃バーゲンセールで、パラリンピック閉会式1週間後の9月14日に、スタッド・ド・フランスや選手村などのあるサンドニで行われたのを皮切りに、週末ごとにフランスのどこかの町を「ツアー」しており、今回が14カ所目だ。
【関連記事】
- 【現地写真】「え、その案内看板持って帰るの……?」五輪グッズ在庫一掃セールの様子ほか、意外なほど五輪を懐かしむパリの今の様子を現地写真で見る
- 【現場報告】フランスはパリ五輪開会式をどう見たか?「魔法のよう」絶賛する新聞、「汚らわしい」激怒する右翼…開幕前の無関心→五輪一色の世論を現地報告
- 【現地レポート】パリ五輪「セーヌ川で優雅な開会式」のウラで…現地で記者が見た“平和とは真逆の現実”「5分おきにパトカーのサイレン」「地下鉄で不審物騒ぎ」
- 【必読】パリ五輪会場・セーヌ川が「道頓堀より6倍以上汚い」衝撃データ…100年も「泳げない川」で本当に開催できるのか?「最後は天気次第」という不都合な真実
- 【注目】「私が先に泳ぐ!」フランス版小池百合子vs橋本聖子? パリ五輪直前、セーヌ川水質をアピールするパリ市長とスポーツ大臣の仁義なき場外戦