パリ五輪「グッズ在庫セールに大行列」「五輪マークも飾りっぱなし」まさかの“五輪ロス”なパリを巡ってみたら…「セーヌ川はやっぱり汚かった」
パラリンピックが閉幕してから1カ月、ターミナル駅には、まだ会場案内のピンクの看板があった。パリは五輪ロスである。 【現地写真】「え、その案内看板持って帰るの……?」五輪グッズ在庫一掃セールの様子ほか、意外なほど五輪を懐かしむパリの今の様子を現地写真で見る 1年前には想像もつかなかった。「オリンピックまであと1年」と、23年7月26日の国営テレビでは1日中特番が放送されていたが、盛り上がっていたのはテレビの枠の中だけだった。世論調査ではオリンピックの競技を「実際に見たい」は9%、「メディアで追いかける」は45%、逆に「追いかけない」は54%であった(《ル・パリジャン》23年7月26日、調査会社OpinionWay)。 また、「個人的に、2024年7月にフランスで開催されるオリンピックのことを考えるとき、どんな心境ですか? 」という質問に対して、48%が無関心、懐疑的が32%であった(《レゼコー》23年8月3日)。 あからさまな商業主義と政治で堕落した姿を3年前の東京大会でみていただけに、もうオリンピックは終わりだなと感じた。
直前には政局でいよいよ関心が薄れていた
《レゼコー》紙の世論調査をしたエラブ研究所所長は、物価高、ウクライナ戦争、気候変動の危機など、いまは別の心配事があってオリンピックは二の次になっているが、大会が近くなれば変わるだろうと予測した。 しかし本番が近づいてきても、パリは会場設営や関係者専用レーンや自転車レーンの設置といった工事、そして交通渋滞の連続で、聞こえてくるのは不満ばかり。おまけに、聖火リレーも佳境に入った頃に、マクロン大統領が国民議会を解散して冷や水を浴びせてしまった。極右が過半数を取るかという大きな関心もあって、世間は選挙一色に。話題になったのは、(道頓堀川よりも汚い)セーヌ川で泳げるのかどうかぐらいだった。 オリンピック開会式の3週間前に選挙は終わり、極右の過半数は避けられたものの、与党も議席を大きく減らして政界は大混乱となり、状況はさらに悲惨になった。セーヌ川沿いの道には開会式のための金網がズラリと並び、まるで道行くこちらが檻の中に入ったよう。至る所に警官や軍人が立って警戒し、空も曇って重苦しかった。 ところが、すべては開会式でガラリと一変した。つい先日、開会式には1億ユーロ(170億円)かかったことが明らかになった。ロンドン大会の3倍以上だ。大散財だったが、それはムダ金ではなかったというわけだ。 大会に税金はほとんど使われていないし、パリは連日メダル・ラッシュに沸き、4つの金メダルを取った水泳のレオン・マルシャンというヒーローも生まれた。メダリストがファンと共に喜びを分かち合う「le Club France」や「Parc des Champions」、会場を賑やかす応援団の設置など、組織委員会も努力した。
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