「定年後のおじさん」の暮らしはなぜくっきりと「明暗」が分かれるのか…その「納得の理由」
擬態しないで、欲しいものを手に入れる
――そうか。自分に才能がなくても、補ってくれる相手を見つけられたら、それでいいわけですもんね。 みなさん、どうしても自分に嘘をついて、擬態してしまうんです。家事が苦手なのに得意なふりをするとか、どちらかというと尖った性格をしているのに、穏やかなふりをするとか。でも、擬態したその人に近づいてくる人とは、けっきょく無理をしなければ付き合い続けられない。 それよりも、できないことはできない、苦手なものは苦手、とはっきりさせておいたほうが、それでもいいと言ってくれる、あるいは補ってくれる人が現れる。これは恋愛に限った話ではありませんが、擬態でごまかしている部分をできるだけ少なくしたほうが、欲しいものは自然と手に入りやすくなりますよ。 ――定年まで会社で勤めあげた人も、擬態が上手だったかもしれませんね。 擬態のプロですよ。そんな方々に推奨したいのは、この本に書かれている天王星、海王星、冥王星の3天体の動きに注目すること。というのも、キロンという魂の傷と癒しを教えてくれる小惑星が、約50年でその人の生まれた場所に戻ってくるんです。キロンは3天体と私たちを繋げる星なので、50歳以降の人生では、3天体の性質が強くなる。そこに現れている自分の性質や才能を、より重視したほうが、生きやすくなっていくと思います。定年したときにはもう60歳を過ぎていて、キロンの回帰からはちょっと距離ができていますけど、意識するだけでまるで変わってくるはずですよ。
自分のことは自分がいちばんよくわかっていると思うのは傲慢
――年齢を重ねると、自分が好きなこと以上に、嫌いなこともはっきりしてくるじゃないですか。「そういうのは、自分はいいわ」みたいな感じで、最初からトライすることを諦めてしまう人は、男女限らず、少なくないのかなと思うのですが。 僕がアドバイスしても「じゃあ、来世に期待する」と言って動かない方はいらっしゃいます(笑)。一度でいいから、何かを試してみて「確かにこれをやったほうがラクになるな」という成功体験を味わってもらえれば、そこからドミノ倒しのように変化していくと思うのですが……。 ただ、一つ言いたいのは、自分のことは自分がいちばんよくわかっていると思うのは傲慢である、ということ。長年生きてきたなかで、擬態して、自分をごまかして、原型をとどめないくらいぶあつい着ぐるみを着ている人に、「本当の自分」が見えているとは思えない。