女子高生の冗談が招いた「豊川信用金庫事件」…銀行への「預金」が必ずしも安全とは言えないワケ
銀行で重視される「安全性・利便性・効率性」
銀行預金の暗証番号(PIN:Personal Identification Number)は、どの国でも4桁に定められています。これは、イギリスの名門銀行バークレイズ(Barclays)が、1967年に世界で初めて導入した「現金自動支払い機」(CD:Cash Dispenser)の暗証番号が4桁であった名残からです。なお、CDの開発に携わった人物が自身の妻で試したところ、4桁を超える数字の羅列は記憶に定着しにくいと判断したそうです。 暗証番号は、数字の羅列が長ければ安全性が高まりますが、その分利便性は下がります。4桁であれば1万分の1の確率で適合しますが、銀行のキャッシュカード等では数回間違えるとCDのシステムがロックされるように仕組まれています。また、これは銀行によって異なりますが、基本的に「0000」や「1234」といった分かりやすい羅列や、誕生日などは使用することができません。 このように、銀行の事務システムでは、「安全性・利便性・効率性」という3つの視点が重視されています。そして、これらの視点に基づいて厳格なルールを定めることで、暗証番号の安全性は実用的なレベルに達していると考えられているのです。
「貸出」の仕組み
「貸出」とは、銀行が個人や企業におカネを貸し出すことです。もちろんですが、おカネを借りる側は定められた利子をつけて返済しなければなりません。そのため、銀行が貸出を行う際には、借り手がきちんとした返済能力を持っているかを審査する必要があります。審査の内容や基準は銀行によって異なりますが、個人では一般的に年収や勤務先、勤続年数などから総合的に判断されます。なお、金額が大きいほど、あるいは期間が長いほど銀行が抱えるリスクは高くなります。 社会が発展するためには、適切な融資を促すことは重要です。融資を受けた個人や企業が事業をはじめたり、投資を拡大させたりすることで経済が成長するからです。そのため、銀行をはじめとする金融機関には積極的な融資が期待されています。 しかし、現在の日本経済は「老齢期」に入ってきており、おカネを借りて事業を拡大するような若い企業は少なくなってきています。預金のうちで貸出に回る比率を「預貸率」(Loan-Deposit Ratio)といいますが、地方銀行の預貸率で7割程度、メガバンクだとなんと3割を切っています。そのため、銀行に預けられたおカネが“余る”ようになり、国債の購入(政府への貸出)等で運用する金額が増えてきているのが現状です。