女子高生の冗談が招いた「豊川信用金庫事件」…銀行への「預金」が必ずしも安全とは言えないワケ
債務者を保護する「利息制限法」
銀行融資には、銀行側のリスクもありますが、一方でおカネを借りる側のリスクもあります。計画的な運用ができなければ、個人や企業の「信用」を低下させてしまいます。 また、融資制度によっては自己資金や担保、保証人が必要となるため、返済が滞ってしまうと今後の生活に大きな支障をもたらす可能性があります。場合によっては、自己破産や人間関係の悪化を招くかもしれません。融資を受ける際は、しっかりとした事業計画や管理体制を整えることが大切です。 なお、2010年には「利息制限法」が施行され、いわゆる金利の上限が定められています。この上限金利を超えて金利が設定されている場合、テレビCMでよく流れているような「過払い金請求」の対象となります。 【利息制限法で規定された金利の上限】 ・10万円未満 : 年20.0% ・10万円以上100万円未満 : 年18.0% ・100万円以上 : 年15.0% この法律の制定によって、いわゆる「闇金」が厳しく取り締まられるようになりました。闇金とは、上限金利を超える金利で金銭貸付を行う違法な金融業者のことです。闇金業者のなかには、そもそも免許すら取得していない業者も存在しています。
闇金をテーマにした漫画に『闇金ウシジマくん』*2がありますが、この作品に登場する主人公・丑嶋馨も「利息制限法」の対象です。丑嶋が経営する金融会社「カウカウファイナンス」が適用する金利は「十五」と呼ばれ、「10日で5割」というまさに法外なものでした。それでも、通常の消費者金融(サラ金)では借り入れができない人による利用が後を絶ちません。しかし、もちろん返済ができるわけはなく、違法で暴力的な取り立てが始まります。 ちなみに、闇金で高利のおカネを借り入れるということは、個人破産・企業倒産の第一歩と言われています。というのも、たとえば『闇金ウシジマくん』のように10日で5割という金利を、通常の経済行為で支払うことは困難だからです。個人はもちろん企業でも、利益率はそれほど高くはありません。闇金での借り入れは、まさに「終わりの始まり」と言えるでしょう。 *2 著者・真鍋昌平、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて連載。暴利の金貸し業を通じて、社会の闇を描いた作品。2010年にはTVドラマにもなり、その後4本にわたって映画化されました。