衆議院の「冒頭解散」過去3回を振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語
衆議院は28日の本会議で解散され、事実上の選挙戦がスタートしました。衆院選は10月10日公示、10月22日投開票です。今回の解散は、臨時国会召集日に即日解散された、いわゆる「冒頭解散」で、戦後では4回目になります。過去3回の「冒頭解散」がどんなものだったか振り返ります。 【図】小泉「郵政解散」を意識? 平成以降の主な解散事例とは
そもそも「冒頭解散」とは?
首相が召集した国会の初日(冒頭)に衆議院を解散する状況です。1月に必ず開かれる通常国会や、それ以外の期間で召集された臨時国会では通常、冒頭で首相が施政方針演説(通常国会)や所信表明演説(臨時国会)を本会議で行います。後に主に通常国会では重要閣僚(国務大臣)の演説があり、引き続き国会内の議員団体である会派(所属政党と必ずしも一致しない)代表による質問が行われ、舞台は委員会へと移ります。 冒頭解散は首相の演説さえなされず、衆議院議長が召集および開会を宣言した後に解散詔書を読み上げるといった段取りになります。 解散詔書とは閣議(首相と国務大臣の会議)で首相が解散への同意をはかり、全員が署名した閣議書を作成、皇居に運ばれて天皇陛下がサインと押印をしたもの。「詔書」とは「天皇の文書」です。慣例にしたがって紫色の袱紗(絹製の布)にくるまれて衆議院議長の下に運ばれ、議長が宣言したら解散です。厳密にいえばもう少し複雑ですけど今回は省略いたします。 今回の冒頭解散は、内閣発足または内閣改造後、国会での審議がまったく行われない初の解散となります。直前の国会閉幕が6月18日で改造が8月3日ですから。憲法の規定で総選挙後の国会で総辞職しなければならないので、仮に安倍晋三首相が新たに国会で首相指名を受けて続投できたとしても、形式上は「第4次安倍内閣」となり、8月の「第3次安倍第3次改造内閣」は結局一言も国会でものをいわずに終了してしまうのです。 では日本国憲法下で、これまでに3回あった「冒頭解散」を振り返ってみます。