遂に決勝「キングオブコント2024」見所を徹底解説。今年はどんな傾向?準決勝も注目株が揃う
ハナコ・秋山寛貴らと同様、“コント職人”と呼ばれる﨑山祐が生み出すネタは、非日常の範疇に留まらない。彼らのYouTubeチャンネルを覗けばわかるが、「行列のできるラーメン屋」「撮り鉄」といった日常から「ダイイングメッセージ」のような刑事モノ、「未来からきた救世主」に見られる近未来的な世界まで設定は実に幅広い。 一貫しているのは、相方のこてつが大きなリアクションで笑わせること、“ネタバラシ”からシステマチックな展開で笑わせることの2点だ。とくに非日常型のコントは、その世界のルールに翻弄されるこてつが妙におかしい。その面白さが今年はよく出ていた。本番で爆発すれば彼らの大会になるだろう。
昨年、「M-1グランプリ」のファイナリストとなったこともあり、漫才のイメージが強いダンビラムーチョの大原優一と原田フニャオ。実は、これまで3度KOC準決勝に進出した実績を持ち、満を持して初の決勝進出を決めている。 そもそも漫才コント、歌ネタ漫才を得意とし、「野球部あるある」のショート動画がバズるなど、ボケ・大原の多彩さは漫才の範囲に収まらないものがあった。今年はそんな彼らが、非日常の中で繰り広げられる実にバカバカしいコントを披露していた。
シチュエーションとキャラクターとの絶妙な対比、後半に向かって着実に見る者を仕留めていくスタイルは、昨年のKOC王者・サルゴリラを彷彿とさせる。昨年、今年と勢いに乗る彼らが王者になる可能性も十分にあるだろう。 一方で、2年ぶり3度目のファイナリストとなったロングコートダディの堂前透と兎、2年連続で決勝に残った隣人の橋本市民球場と中村遊直も、それぞれ違った世界観で会場を沸かせていた。当日、その独特の空気感がハマれば念願の優勝を果たすかもしれない。
同じ非日常型でも、インパクトの強さで目を引いたのがニッポンの社長とcacaoだ。 ニッポンの社長の辻皓平とケツは、5年連続のファイナリスト。ギリシア神話に登場する怪物同士の出会いを描いたネタ「ケンタウロス」、1人はあらゆる凶器を躊躇なく使う男、もう1人は不死身の男、という特殊な友人同士が意中の女性を巡ってケンカするネタ「空港へ行け」など、決勝では毎度賛否が分かれるコントを披露してきた。 今年も、その路線は崩していない。もはや“ニッポンの社長らしさ”と言えるような理不尽なシステムが働いていた。優勝するかどうか以前に、このアウトローなスタイルで5回決勝まで進んでいる事実こそ賞賛されるべきではないか。