遂に決勝「キングオブコント2024」見所を徹底解説。今年はどんな傾向?準決勝も注目株が揃う
■一癖ある日常ネタで笑わせる 今大会で初の決勝進出を果たしたシティホテル3号室の亮太と押田は、日常的でありながら一癖あるネタで勝ち上がったコンビの代表例だ。すでにライブシーンでは「面白い」と評判だったが、昨年は惜しくも準決勝敗退。今年ようやく念願のファイナリストとなった。 意中の女性を巡る手切れ金100万円を叩き返したものの、金額が少ないことがバレて揉め始めるネタ「VS財閥の御曹司」、売れてない俳優を使う業界にハマり過ぎた役者と弱小芸能事務所の社長とのやり取りを描いたネタ「業界の圧力」など、設定だけでも笑ってしまうコントが多い。
今年のネタもキャッチーでありながら、しっかりとキャラクターが掘り下げられ笑いにつながっていた。キャリアが長いだけにネタの完成度も高く、彼らのライブを観たことがない者にとっては新鮮なコンビでもある。その意味で、彼らが頂点に立つ可能性は高いのではないか。 同じ日常型のコント師では、3年連続でファイナリストとなったや団が優勝することも考えられる。ネタごとに設定やキャラクターは違うが、“や団らしさ”を残す安定したクオリティーは今大会随一だろう。
2年前、彼らにインタビューしたところ、セリフ量の黄金比は「ロングサイズ伊藤:5、本間キッド:4、中嶋享:1」だと語っていた。つまり、ザ・ドリフターズや東京03のように役割分担がはっきりしているのだ。 今年も、熱くクレイジーな男(伊藤)、秀逸なリアクター(本間)、飄々としたバイプレーヤー(中嶋)は健在だった。2021年にKOC王者となった空気階段は、2019年、2020年と連続で決勝に進出し、3度目の正直で大会を制覇。このパターンに乗って、彼らが栄光を手にするかもしれない。
また、2022年に準優勝したコットンの西村真二ときょん、2年連続5回目のファイナリストとなったラブレターズの塚本直毅と溜口佑太朗も、“日常の中の異物”を各々のタッチで描き準決勝で大いに笑わせていた。どちらも実力は十分なだけに、今度こそ王者となるかもしれない。 ■コント職人vs多彩なコンビ もう1つのタイプ、非日常型のコントで注目しているのがファイヤーサンダーだ。昨年から2年連続で決勝進出。ここにきて、彼らの実力が認められているのは、率直にストイックにコントを作り続けた結果だと感じる。