ホリデー向け広告でジェネレーティブ AI ツールの利用をためらう大手広告主。しかし中小企業にとっては大きな助けか
中小企業にとっては大きな助けに
中小企業にとっては、メディアバイヤーやエージェンシーを介さずにオーディエンスにリーチできることが、AIクリエイティブツールのセールスポイントとなっている。 ホリデーシーズンに広告の制作を増やすにもかかわらず、「制作のためのデザインリソースやクリエイティブリソースを持っていない企業は、ジェネレーティブAIのコンテンツ制作ツールに目を向けるかもしれない」と、eコマースの成長支援を手がけるエージェンシーのコモン・スレッド・コレクティブ(Common Thread Collective)でAIディレクターを務めるジェイコブ・ポセル氏は言う。 同氏が米モダンリテール(Modern Retail)に対して語ったところによると、「デザインやクリエイティブの戦略に関して、(ホリデーシーズンに)必要な数の広告を制作できるだけの能力やリソースを持っていないブランドは多い」と言う。だからこそ、「そのような難題を解決する重要な手段のひとつとして、AIがある。広告の制作を増やすために必要な多くのタスクをAIに任せることで、作業を大幅に効率化できる」と話す。 また、ポセル氏によれば、ジェネレーティブAIの効果が大きいのはどちらかといえばシンプルな広告を必要とし、膨大な画像ライブラリを利用しているブランドだという。
動画向けという可能性
実際、サプリメントブランドのオブビー(Obvi)の共同創業者でCMOを務めるアシュビン・メルワニ氏は、「特定のタイプの小規模ビジネスにとって、参入を妨げる障壁があったが、その障壁は打破された」と、米DIGIDAYに対して述べている。 とはいえ、オブビーがさまざまなソーシャルプラットフォームのAI搭載クリエイティブツールを試したところ、顧客向けのキャンペーンで使用できるほど進化しているツールはなかったという。「メタに対して『私の代わりにすべての作業をやってくれ。そうしたら公開する』といって、安心してその広告を出せるような段階にはいまだ達していないと思う」と同氏は語った。 それでも、クリエイティブなAI機能が進化を続ければ、ブランドにとってさらに有益なものになるかもしれない。D2C(direct-to-consumer)ブランドと仕事をしている広告エージェンシーのデジショップガール・メディア(Digishopgirl Media)でCEOを務めるカティヤ・コンスタンティン氏は、特に動画の分野でAIの生成機能に可能性を見いだしている。なぜなら、動画は制作コストがかかるが、クリエイティブミックスの重要な要素だからだ。 Amazonは9月、広告主向けにAIを搭載した動画生成ツールをリリースした。また、アドビ(Adobe)とOpenAI(オープンAI)も動画生成ツールを発表している。 「動画は、クリエイティブの面で大きな問題を抱えている分野であり、我々が見る限り、おそらくほかの分野ほど機能が充実していない」と、コンスタンティン氏は言う。「動画向けのさらに優れたツールが開発されれば、相当な規模で導入され、ゲームチェンジャーになるに違いないと私は予想している」。 [原文:Brands are cautious about Google and Meta’s generative AI holiday ad push] Mitchell Parton(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:島田涼平)
編集部