プーチンの秘策か、契約終了目前の欧州向けガスパイプラインでロシア産をアゼルバイジャン産として継続輸送案が浮上
■ 「スワップ契約はトロイの木馬」 このスワップ契約が成立すれば、欧州にロシア産ガスが引き続き流れ込み、プーチンがウクライナ戦争を継続するための軍資金になる。ロシア産化石燃料はインドやサウジアラビアを経由して欧州に“迂回輸出”されている。 「スワップ契約はトロイの木馬」とウクライナ側は神経を尖らせる。 同紙によると、アゼルバイジャンは議長国になってから1年間で80億ドル相当の化石燃料取引を成立させた。ロシア第2のガス会社ノバテク関係者はCOP29会場で「ロシアは世界最大の価格競争力のある天然ガスを持ち、グローバルサウスに提供する用意がある」とアピールした。 ウクライナへの軍事支援を停止したスロバキアのロベルト・フィツォ首相に近いペテル・ペレグリニ同国大統領は11月11日、バクーでアゼルバイジャンのアリエフ大統領と会談し、経済、エネルギー安全保障、兵器産業の2国間協力について協議した。 ペレグリニ大統領は新年もウクライナ経由のガスが供給されるかどうかについて「アゼルバイジャンはトルコ、ブルガリア経由でスロバキアに直接供給するガスを保証するだけでなく、ウクライナ経由のガス輸送を支援するという申し出も有効だと確約した」と喜んだ。
■ ウクライナ経由のガス輸送は「ロシアとウクライナの決定次第」 その一方でウクライナ経由のガス輸送は「ロシアとウクライナの決定次第」とも付け加えた。スロバキアの国営エネルギー会社SPPはソカール社とパイロット契約を結んだ。ペレグリニ、アリエフ両大統領は兵器産業についても協議し、両国企業が合弁会社を設立する意向だと述べた。 天然ガスは液化してLNGにして輸送できるが、液化・再ガス化設備などインフラコストが高くつく。初期費用はかかる一方で大量のガスを効率的に長期間輸送できるパイプラインが使えない場合、スワップ取引が行われることが多い。 ただウクライナの国営エネルギー会社ナフトガスのオレクシー・チェルヌイショフ最高経営責任者(CEO)はインタファクス・ウクライナ通信に「契約終了後、契約を延長することも、ロシアと新たな契約を結ぶことも考えていない」と述べている。 地球温暖化で海氷が溶け、北極圏の地政学も一変する。 環境保全団体WWFグローバル北極プログラムのエレナ・トレイシー博士は「北極海航路は過去10年間で船舶数は37%増、航行距離は倍増した。北極圏の生物多様性と沿岸地域社会のリスクは海運によって増大している」と言う。