「うちの子、発達障害かも?」と思ったら。最初の相談先、本人やきょうだいへの伝え方について言語聴覚士 原哲也先生が答えます
子どもに言う?言わない?「発達障害」の伝え方
■発達障害、本人にどう伝える? 子どもに発達障害があることがわかった時、その事実を子ども本人に伝えたほうがいいのでしょうか。 「発達障害がある子どもたちは、成長や人との関係の中でうまくいかないことが起こると、“自分のせいだ”と思い、自分自身を責めてしまうことがあります。しかし、発達障害のある子どもの生きづらさは脳の特性からくるものであって、その子のせいではありません。告知によって、うまくいかないのは特性のせいであり、自分が悪いわけではなかったと思えることで楽になることはあります。 そして告知は「本人が得意なことや苦手なこと、その他の多様な特徴をもつ自分というものをよく深く理解すること、そして自分自身を深く知ることで、穏やかに、前向きに生活していけるようになることをめざして行うもの」だと原先生は言います。 ■いつ告知するか? 告知のタイミングについて、原先生は以下のようにいくつかのタイミングがあると言います。 ①学童期に他の子どもとの違いに気づき始める小学校高学年ころ ②思春期に友人関係につまずき自尊心が低下するころ ③青年期に進路選択に悩むころ ④成人期に職場での対人関係で悩むころ 課題は、誰がそれを伝えるかです。保護者、特に母親が伝える場合が多いようですが、原先生は医師から伝えてもらうのが望ましいと考えているそうです。 「専門家である医師が伝えることで要点が冷静にクリアに伝わりますし、その方が保護者が子どものサポートに徹することができると思う」と原先生は言います。 親が子どもに伝えるより前に、子どもたち自身が他の子との違いに気づくことも多いそうです。告知について原先生は「必ずしも診断名を出す必要はありません。診断名は言わずにあなたは“これが苦手” “これが得意という伝え方でもよいのではないでしょうか」とアドバイスします。 ■きょうだいにはどう伝える? きょうだいは、発達障害のある子の苦手さをサポートする機会が多くなるので、障害名ではなく、「○○が苦手で」という伝え方をするのが良いそうです。 また、きょうだいの中には、障害があるきょうだいや親に気を遣い、必要以上に良い子になってしまっている子もいます。原先生は「きょうだい児ががんばりすぎないように、親から何かをお願いするとしても時間を区切ってお願いするようにしてほしい」と話します。 「家族の生活は、どうしても障害がある子中心にまわってしまいがちです。しかし、きょうだいのために愛情を確認する時間もぜひ作ってあげてください」。