AmazonやGoogleが日本で「合同会社」を選んだ理由【司法書士が解説】
AmazonやGoogleが合同会社を選ぶ理由
(1)設立・運営コストが最小限 合同会社は、設立費用や運営コストを抑えながらも、必要十分な法人格を持つため、AmazonやGoogleのような外資系大企業でも魅力的な選択肢となります。 (2)グローバル本社による迅速な意思決定が可能 合同会社では、株主総会や取締役会を設ける必要がなく、親会社が直接的に経営をコントロールできます。AmazonやGoogleの日本法人は完全子会社として設立されており、合同会社の仕組みを活用することで、迅速かつ効率的に意思決定を行える体制を整えています。 (3)決算情報の非公開で競争優位を確保 合同会社には決算公告の義務がないため、売上や利益といった経営情報を外部に公開する必要がありません。競争が激しい業界では、こうした情報が競合に知られないことが戦略的に大きな意味を持ちます。 例)Amazonは日本市場で圧倒的なシェアを誇りますが、合同会社の形態を採用することで、その具体的な経営状況を外部から把握されにくくしています。 (4)親会社の利益を最大化 合同会社では利益配分を柔軟に設定できるため、グローバル本社の利益を最大化する仕組みを構築できます。これにより、税務上のメリットを享受しつつ、全体最適を図ることが可能です。 (5)日本の法制度に対応 日本の株式会社では、株主総会や公告義務など、外資系企業にとって馴染みの薄い規則が多く存在します。合同会社はこうしたルールに縛られないため、外資系企業にとって合理的な選択肢となっています。
合同会社にはデメリットもあるが、大企業にとっては無問題
合同会社には多くのメリットがありますが、考慮すべきデメリットも存在します。ただし、これらはAmazonやGoogleのような大企業にはほとんど影響を及ぼしません。 (1)信用力の課題 日本では「株式会社」の知名度が高く、合同会社は小規模事業のイメージを持たれることがあります。しかし、AmazonやGoogleのようなブランド力のある企業では、この問題は発生しません。 (2)資金調達の制約 合同会社は株式を発行できないため、株式を活用した大規模な資金調達ができません。しかし、AmazonやGoogleの日本法人は親会社からの資金で運営されているため、この制約は問題になりません。