ロッテが佐々木朗希に「故障させない育成メソッド」。なぜ吉井コーチは40メートル以上を投げさせなかったのか
プロ野球の12球団が1日、一斉にキャンプイン。沖縄・石垣島でのロッテキャンプでは、4球団が競合したドラフト1位ルーキー、佐々木朗希(18、大船渡)がプロの第一歩を踏み出した。ブルペンには入らなかったが、吉井理人1軍投手コーチ(54)がゴールデンルーキーを故障させずに成功へ導く育成メソッドをスタートさせた。計画されている佐々木育成法とは?
異例のメディアとファンが大集結
沖縄本島から南西に約410キロ離れた石垣島に異例の報道陣とファンが集結した。お目当ては、もちろん、ゴールデンルーキー、佐々木朗希である。引退してから、毎年、キャンプ初日の2月1日に石垣島を訪れているロッテOBの里崎智也氏が驚いていた。 「キー局の女子アナに地方局のメディアが2月1日に集結するなんて初めて見ましたよ」 受付けされた報道陣は100人以上。初日の観客発表は2000人で、昨年の約1.5倍だそうである。 就任3年目、勝負のシーズンを迎える井口監督も、「いつもの3倍くらいはいるかなと思います。プロ野球である以上、見られるのはいいこと。しっかりと緊張感を持ってできるので」と佐々木効果に目を丸くした。 「よく眠れた」という佐々木は午前5時半に起床したという。 初めてピンストライプの背番号17のユニホームに袖を通した。 「すごくかっこいいですし、これからこれを着て活躍したいなと思いました」 決意を新たに石垣島のグラウンドに立った。 ウォーミングアップから、キャッチボール、ファンの殺到を避けるため、メイン球場からカートに乗せてもらって、サブグラウンドへ移動。投内連携を終えると、吉井投手コーチは、佐々木と、ドラフト4位、横山陸人投手(18、専大松戸)の2人だけをサブグラウンドに残した。本来なら「12間走」のランニングが、次のメニューだったが、きついメニューで疲労する前に、まずゴロ捕球をやらせた。 「ステップする足側の前で捕る」ことを指示した。 「ステップする方の足の股関節にしっかりと(腰が)はまるイメージを作ってからキャッチボールに入ってもらった。アマは柔らかいマウンドだが、プロでは硬いマウンドになる。股関節にしっかりと(腰が)入らないと故障もあるしフォームバランスを崩してしまう」 プロ仕様に対応させるため、股関節を使う意識を植え付けておいて、約40メートルの距離での遠投。しかも、吉井投手コーチは、「5分間」に時間を区切った。 「やりすぎないように。数を数えるのが面倒なので」と、吉井投手コーチは言ったが、投球時間を時間で区切るのは、故障撲滅のため肩の消耗に異常なほどの神経を使うメジャー流だ。肩、肘に負担のかからない平地での投球もメジャーで肩作りの初期段階として取り入れられているものだ。