ロッテが佐々木朗希に「故障させない育成メソッド」。なぜ吉井コーチは40メートル以上を投げさせなかったのか
メジャーでの経験に加え、筑波大学でも研究、勉強をしてきた吉井投手コーチは、「40メートルを超えると(リリース、腕の)角度が変わってくる。いろんな文献を見ても40メートルまでは、球速や投球の質は上がるが、それを越えると悪くなったり、バラバラになる。僕自身の経験も含めて、ちょうどいいのが40メートル」と理由を説明した。 この40メートル&5分間投球が、成長している肉体と、フォーム、感覚のギャップを埋めるためのアプローチのひとつというわけである。 40メートル投球でも佐々木は左足をぐいっと高く上げる独特の迫力あるフォームで投げた。 「(足を上げたときに)しっかりと真っすぐ立つこと。一番いい角度でボールをリリースすること」をキャッチボールの注意事項にしているという。 吉井投手コーチは「研究された文献を見ると、足の高さとボールの速さに相関関係はない。ただカッコいい」と、報道陣に笑いを提供した上で、独自理論を展開させた。 「足を高く上げた方が、屈伸運動に移るときの勢い、バランスをつけやすい。個人的な経験から言えば、速球派は、足を高く上げるピッチャーの方がいいピッチャーが多いんじゃないかと思う。ノーラン・ライアン、クレメンスも高く上げている」 ノーラン・ライアン、ロジャー・クレメンスというメジャーのレジェンドをゴールデンルーキーの佐々木に重ねた。 吉井投手コーチは、前述した変化した肉体と感覚のズレをアジャストさせ、高校時代の最盛期の状態に戻すためのアプローチメニューを手を変え品を変え実行していく考え。 佐々木も、「与えられたメニューをしっかりとやること。これからわからない世界へいくうえで、自分で考えてやらなきゃいけないけど、吉井さんに導いて欲しいです」と、信頼を置いている。 メディアが注目しているのは、プルペン入りのタイミング。
吉井投手コーチは、「ブルペン入りのタイミング? きょうだけじゃわからない。ピッチャーは、みんな早くブルペンに入りたい、という気持ちが見えて当然」という。 ブルペン入りは、第3クール以降になりそうだが、未知のポテンシャルを持った素材を故障させることなく、どう育成するかというロッテが担う大命題は、吉井投手コーチが用意している育成メソッドが解決してくれそうである。 プロ初日を終えた佐々木は黒山の報道陣に囲まれ、初日を終えての感想を語った。 「いい練習ができたなあと思いました。新人合同自主トレとは違い、たくさんの方が見るなか違う緊張感がありました。充実感がありました」 小走りで練習場所を移動する合間にはファンの子供にサインをする一幕も。 「遠くから足を運んだ方もいると思うで、少しでもいいプレーを見せられるようにがんばりたいなあと思いました。早く1軍でチームのために活躍して、(ファンの方々に)たくさんの恩返しをしたいと思いました」 そんなプロ意識の芽生えもとても初々しかった。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)