【大学入試】増える総合型選抜への対策とは 「親子二人三脚がカギ」と専門家が指摘
「中学受験は限られた都市部で過熱しているもので、わが子の大学受験には関係ない」と思っている人もいるかもしれません。しかし、追手門学院大学客員教授で学習塾業界誌「ルートマップマガジン」の西田浩史編集長は、中学受験経験者の増加が、近年の大学入試の変化にも影響を与えていると言います。探究学習に力を入れている高校が、進学実績を伸ばしています。特に試験方式が複雑な総合型選抜では、早めの情報収集と中高時代の探究学習が大切だとも指摘。その理由と、具体的な対策について聞きました。(写真=Getty Images) 【表】5年後、最難関国立大学、早慶、GMARCHの年内入試合格者が増加しそうな注目校
探究学習に強い高校が躍進
西田編集長は、大学入試の変化と中学受験との関わりを、次のように説明します。 「中学受験を経験した都市部の親は、わが子の進路への意識が高い。子どもが中1の時点から、大学の年内入試を見据えた対策を始める家庭も出てきています。こうした親が増えることで、大学入試のスタートも早期化しているのでしょう。そしてこの傾向は地方にも波及してくるということを、全国の親が意識しておくべきです。年内入試、とくに総合型選抜による合格者の動向は、まだ母数が少ないので意識されにくいところがあります。しかし、これが高校の進学実績や序列に影響してきていることは間違いありません」 近年、進学実績を伸ばしている高校には、「探究学習に強い」という共通点があるようです。この傾向は私立中高一貫校でも公立高校でも同様で、これも年内入試の拡大によるものだと西田編集長は話します。 「探究学習では、グループワークやプレゼンテーションの練習ができます。これによって伸びるのが、総合型選抜で求められる、旧来の教科学習ではフォローできない力です。国語や社会などの教科でも座学による一斉授業を減らし、表現力を磨くなどの方法がとられていることが多くあります」 「不動とされてきた地方トップ校の地位も変わりつつある」と西田編集長は言います。 「トップ校に次ぐ2番手の公立高校が中高一貫校化する動きが、都市部近郊から地方にも広がっています。6年にわたる教育と大学入試の特性を理解した指導の効果で、総合型選抜の合格実績と高校のレベルが逆転する、いわゆる『下克上』が起きています」