イチローやジョブズ...成功する人が「独自のルーティン」を大切にしている理由
「運が良い人」の秘密は「習慣」にあった ――第一線で活躍する各界の著名人たちが、実践してきた「とっておき」を明かす。 【マンガ】子どもの中学受験で「悪意なき毒親」が誕生してしまう「切なすぎる理由」
習慣を科学する
イチローはマリナーズの選手時代、朝昼兼用のブランチにいつもカレーを食べていた。マイクロソフトの創業者で億万長者のビル・ゲイツは、週に3回、10分間の瞑想をしている。 成功者と呼ばれる人々の多くが、独自のルーティンを実践している。なぜか? 脳神経外科医の菅原道仁氏はこう説明する。 「脳は実に「燃費の悪い」臓器です。大人の脳の重さは、約1・4kg、体重の2%くらいです。ところが消費エネルギーの面で見ると、一日に必要なエネルギーのなんと約20%を、脳だけで使用しているのです。特に脳はなにか物事を決断する際に、多大なエネルギーを使います。 一説には人は一日に35000回も決断していると言われている。どの電車に乗ろうか、何を食べようか―こうした些細なことでも、人はその都度決断しており、エネルギーを使っています。しかしこうしたことを事前に決め、習慣化しておけばエネルギーを節約でき、より大きな決断に注力できます」
習慣を身につけるコツ
菅原氏が例に上げるのが、Appleの創業者スティーブ・ジョブズの習慣だ。彼は同じ黒のタートルネックとジーンズを何着も持っており、これを毎日着回していた。 「朝にどのシャツを着ようとか、ネクタイの色をどうしようという決断を省きたいのです」(同前) とはいえ、習慣が定着するまでには多大なストレスがかかるため、「三日坊主」で終わってしまうことも。 そこで菅原氏は「脳の仕組み」を使って、習慣を身につけるコツを説明する。まず大切なのは動機づけだ。 「『モテたいから』『会社の業務命令だから』といった『外発的動機づけ』は長続きしない。『収入にはならないけれど、楽しいからやりたい』といった自分が心から欲する『内発的動機づけ』が長続きするのです」(同前) そのうえで、ただ頭を使って考える習慣よりも、身体を使う習慣のほうが定着しやすいと菅原氏は言う。 「まず身体を動かすことで、やる気はあとから湧いてきます。これを『作業興奮』と呼びます。さらに目標は小刻みに設定することです。これを『スモールステップ法』と呼びます。『英語が喋れるようになる』といった大きな目標ではなく、『一日に10単語覚える』と目標を立てる。目標を達成すると、脳内ではドーパミンが分泌され、達成感を覚えます。これがやる気を生み、習慣化につながるのです」