恐怖のAI兵器「LAWS(自律型致死兵器システム)」とは?使用規制が進まない複雑な事情
使う側の目的は? LAWSの使用をめぐる論点
倫理的な課題のあるLAWSがなぜそこまで必要とされるのでしょうか。使う側の視点に立ち、兵器の特徴を整理していくと、下記のようなポイントに整理できます。 <使用する理由> ・危険な前線に人間の兵士を送る必要がない ・前線に長時間にわたって展開しておくことができる ・遠隔操作とは異なりジャミングの影響が少ない ・迅速な判断と展開、低コストでの運用 <使用に伴う問題点> ・道義的責任などの倫理的課題 ・目標の誤認識などの技術的な課題 ・サイバー攻撃を受けた場合の不確実性 ・人的被害が減ることによる紛争拡大の懸念 前線に人間を送る必要がなく、昼夜を問わず展開が可能で、遠隔操作型に多かったジャミング(レーダーや通信のための電波を、電波によって妨害すること)による妨害も抑えられる特徴があります。また、前線に人間を送る必要がなく、安全の確保などの準備期間が不要で、迅速に自律兵器の部隊を展開することができてしまいます。使い捨てが前提の兵器となるため品質も求められず、コストも抑えることができます。これらがLAWSが求められる理由になっていると考えらえます。 一方、人間の命を奪う判断を機械に任せて良いのかといった倫理的な問題があり、さまざまな妨害作戦が展開される戦場で目標識別の精度が維持できるのかといった技術的懸念もあります。 加えて、サイバー攻撃を受けてハッキングされた場合に兵器が悪用される懸念や不具合が発生した際にどのような被害がでるか予測できないといった問題も無視できません。 また、LAWSの使用により、戦争による人的被害やコストが抑えられ、戦争を起こしやすくなるといった懸念もあります。 2024年時点で、国際人道法では無差別に殺傷する兵器全般を禁止しており、LAWSも無差別に攻撃をするリスクがある場合はこれに抵触します。ただ、技術的に目標を指定できる場合には該当せず、LAWSを合法的に使用することは可能となっているため、LAWSを規制するための国際法については2024年の現在、検討が進められている最中です。