上野動物園でパンダを観る際、“失敗しないルート”が存在。ガチ勢は「開園数十分前から弁天門で待機」
⑤パンダガチ勢がすごすぎる!
パンダには熱心なファン、いわゆるガチ勢がいます。超望遠レンズを装着した一眼レフカメラを何台か持っている人、パンダデザインの服やバッグで全身キメキメの人、パンダが生まれたときと同じ体重の限定ぬいぐるみを抱いている人など、思い思いのスタイルで、みんな楽しそうです。 そして、1日に何度も並ぶ人、毎日通う人も意外といます。そういう人の熱気を感じられるのもパンダならではです。
⑥パンダの個体識別にチャレンジ
パンダはみんな同じ顔? そんなことはありません。目の周りの黒い部分(アイパッチ)の形一つとっても、1頭1頭異なります。また、顔立ちや体つき、竹や笹の食べ方、しぐさや動きのクセなどもさまざまです。 特に、シャオシャオとレイレイは双子のパンダで、幼い頃はそっくりで見分けがつきませんでした。そのため、シャオシャオには背中に緑色の印がつけられていました(無害なアニマルマーカーを使用)。もう印は消えかけていますが、今は別居しており、それぞれの展示場に名前が掲示されているので見分けられなくても大丈夫。でも、個体識別ができると親しみがわくんですよね。 「シャオシャオは鼻先がしっかりしていて力強い感じ」 「レイレイは顔のパーツが中心に寄っている」 のように観察し、自分なりの見分けポイントを探してみてください。
⑦並んでいるうちにパンダ基礎知識を予習
オカピ、コビトカバと並び世界三大珍獣に数えられるパンダ。見た目も生態もユニークで、おもしろいエピソードや謎も少なくありません。事前に知識を得ておくことをおすすめします。 *最初に「パンダ」と呼ばれたのはレッサーパンダ。その後、誰もが知る白黒のジャイアントパンダが発見され、現代では「パンダ」と言えば一般的にジャイアントパンダを指すようになった。「パンダのもり」では、レッサーパンダも飼育されているのでこちらも必見。 *忘れがちだが、パンダはクマの仲間。肉食性の消化機能をもち、タケやササを十分に消化できないので、大量に食べなければならない。生息地では、食べ物をめぐる競争や敵を避けるため、あまり人気のないタケ・ササを主食とすることを選んだ。 *日本に初めてパンダがやってきたのは1972年。日中友好を記念して贈られたカンカン(オス)とランラン(メス)。 *来園後間もなくカンカンが風邪を引き、飼育チームは上野の街で人間用の漢方薬を入手。パンダを劇的に回復させた漢方薬は、今も「天心堂診療所」で数百円で買える。 *交尾後、受精卵はすぐに着床せず、しばらく子宮内を浮遊する。これを着床遅延(ちゃくしょうちえん)と呼ぶ。これにより、妊娠期間が変わり、最適な時期に出産・子育てができる。 *関節の可動域が広く、股関節が柔軟で、腰から背中までをぐにゃっと曲げることができる。そのため、おしりから腰のあたりを地面にべったりつけて座る「パンダ座り」も得意。 *体の白黒模様の理由は、いまだに謎。雪の中で目立たない、目の位置が外敵から分かりにくい、まぶしさを防ぐ、黒い色により保温できるなどの効果があるのではないかという説がある。 *指の数は前も後ろも5本ずつだが、親指側の手首の骨が大きくなってできたこぶがあり「第6の指」とも呼ばれる。このこぶと指を使い、竹を上手に握る。 ===== 何十分並んだって、パンダは見られるうちに見ておかないと後悔します。リーリーとシンシンはいなくなりましたが、幸いなことに、2頭が残した双子のパンダたちはまだ上野で暮らしています。 ちょっとだけでも予習をしておくと、目に入ってくる情報がぐっと濃厚になります。開園時間や観覧方法、内容などは変更される可能性があるため、サイトやSNSで最新情報を確認し、今すぐ出かけましょう! <TEXT/木村悦子> 【木村悦子】 フリーの編集者・ライター。出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」を創業。実用書やガイドブックの企画・編集を行う傍らで、Webライターとしても活動。飲食・日本文化・占い・農業など、あらゆることに興味があるが、生き物が大好きすぎて本も書く。『日本で会えるペンギン全12種パーフェクトBOOK』、『ラッコBOOK』を執筆。
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