神戸の歴史を眺めて77年の「にしむら珈琲店」(兵庫・三ノ宮)で味わう絶品ケーキと伝統の珈琲
秘伝のブレンドと伝統のウィーン菓子が味わえる本格喫茶
「にしむら珈琲店」を訪れたら味わいたいのは、やっぱりブレンド珈琲。一般的には豆をブレンドした後に焙煎・加工を施すそうですが、「にしむら珈琲店」は使用する6種類の豆をそれぞれ焙煎し、状態を見ながら微調整を行った後でブレンドしているのだとか。この方法は非常に手間がかかりますが、豆本来の風味を最大限に引き出すために欠かせないプロセスだそうです。そのレシピは社内でも限られた人のみが知る、秘伝の配合だそう最初の一口で感じるのは、その深い香りとまろやかさ。しっかりとしたコクがありつつも、後味はすっきりとしていて、飲むほどにほっとする味わいです。こうした繊細な味を実現するのは、長年の技術と経験の賜物なのでしょう。また、スイーツも見逃せません。自社パティスリー「セセシオン」で作られたケーキはどれも絶品です。特に人気の「ケーゼクーヘン」は、フランス産クリームチーズを贅沢に使い、濃厚でありながらブルーベリーの酸味が絶妙なアクセントとなっています。そして、ウィーン菓子の代表格「オペラ」は、コニャックの香りが鼻に抜け、フルーティーな味わい。にしむらブレンドコーヒーのハンドドリップ抽出したものとエスプレッソ抽出したもの、2種を使用しています。同じ珈琲でもさらに深みを出している大人のスイーツで、珈琲と合わせるためにあるようなもの。ペアリングも言わずもがな最高です。さらに、創業者が「もったいない精神」から生み出したという元祖コーヒーゼリーもぜひ試してほしい一品。ぷるんとしたしっかりめの食感に、ブレンド珈琲の豊かな香りが口いっぱいに広がります。満足感のあるサイズ感も魅力で、スイーツ好きにはたまりません。
神戸とともに未来へつなぐ令和の珈琲文化
たった3席から始まった「にしむら珈琲店」。戦後の神戸を活気付け、珈琲文化を神戸にもたらし、さらに震災を乗り越えたという長い歴史があります。最初はケーキやパンは外注でしたが、「本格的なオリジナル商品を提供したい」という想いから、自社パティスリー「セセシオン」とベーカリー「ブロートバール」を立ち上げたそう。熟練の職人たちが手掛けるスイーツやパンはどれも高品質。かつ心のこもった味わいを楽しむことができます。そのこだわりは、「美味しいものを通じて人々を幸せにしたい」という信念に基づいているように感じました。本店から歩いて5分ほどの場所にある「北野坂にしむら珈琲店」も人気です阪神・淡路大震災から30年目を迎える2025年。「にしむら珈琲店」が歩んできた歴史は、ただの企業の物語ではなく、神戸の人々がつないできた希望の象徴でもあります。震災後、地域のコミュニティが再び「日常」を取り戻すための居場所として機能し続けたこの喫茶店の存在が、どれだけの人々の支えになったことでしょう。神戸を訪れた際には、ぜひ「にしむら珈琲店」で一杯の珈琲を楽しみながら、77年の歴史を感じてみてください。 About Shop にしむら珈琲店 中山手本店 神戸市中央区中山手通1丁目26-3 営業時間:8:30~23:00 定休日:毎月最終月曜日(一部例外有) Instagram:@kobe_nishimura_coffee
ウフ。編集部 あかざしょうこ