全国高校サッカー、高川学園が王者・青森山田破る…4人がゴール前でぐるぐる回る奇襲「トルメンタ」奏功
第103回全国高校サッカー選手権大会(読売新聞社など後援)は31日、2回戦の全16試合が行われ、高川学園(山口)が前回優勝の青森山田(青森)を破り、3回戦に進んだ。初出場の東海大相模(神奈川)が試合終了間際のゴールで草津東(滋賀)を破って大会初勝利。阪南大(大阪)は新潟明訓(新潟)に大勝し、帝京(東京B)、流通経大柏(千葉)、帝京大可児(岐阜)も快勝した。矢板中央(栃木)は日章学園(宮崎)に競り勝ち、東北学院(宮城)、松山北(愛媛)、大津(熊本)なども勝ち上がった。3回戦は2日、首都圏4会場で8試合が行われる。 【写真】後半、円陣を組んで回転しながらコーナーキックを待つ高川学園の選手たち
FW大森が先制ヘッド
47分、高川学園の右CK。DF柿本、FW大森ら4人がゴール前で手をつないで輪をつくり、ぐるぐると回り出す。2021年度大会を席巻した、スペイン語で嵐を指す「トルメンタ」だ。
江本監督が「まさかやるとは思わなかった」と言うように、これまで温存してきた策。相手を惑わせ、おとりの選手がマーカーの動きを封じ、近いサイドでフリーになった柿本につなぐ。シュートはポストに嫌われたが、折り返しを大森が頭で押し込み、均衡を破った。
青森山田とは21年度大会準決勝で対戦し、CKも奪えずに0―6で敗れた因縁がある。「トルメンタを現地で見て、ここに入りたいと思った」と石川県から進学した大森は、「おびえていたらだめ。全員で戦う気持ちを持って臨んだ」。
序盤からフィジカル自慢の相手に真っ向勝負を挑み、球際に激しくぶつかる。低めのルーズボールにも頭から飛び込み、気迫あふれるプレーを何度も見せた。PKからの2点目はMF行友が左サイドで競り合いを制し、獲得したもの。見事にはまったトリックプレーも偶然の産物ではない。
最高成績は4強。大森が「目標は日本一」と言えば、主将のDF沖野も「この試合は通過点にすぎない」ときっぱり。前回王者を力強く退け、再び旋風を巻き起こすかもしれない。(林田晴樹)