「もうええでしょ!」会議で大きな声を出す人が、頭の中で考えていること
● 「もうええでしょ!」を リアルで言っている人はいるのか Netflixのドラマ『地面師たち』には、印象的なシーンがいくつもあったが、なかでもピエール瀧が扮する司法書士が「もうええでしょ!」と大声を出して議論を終わらせようとするシーンは面白かった。これは、地面師チームに隠したいことがあり、これ以上相手側に突っ込んでもらいたくないときに、話を逸らしたり、議論を終結させたりするために使われた手法であった。 同様に、リアルなビジネスミーティングや議論の中でも、誰かが大きい声を出すことがある。それはいったい、どのような意図に基づいているのだろうか。実は結構、戦略的に使われている。 会議のフェーズの順に考えてみたい。 ● 会議の初期の大声 目的:議論の方向性を制御 会議の始めに大声で意見を述べることは、議論の流れやトピックを自分の望む方向に導くために行われる。これにより、自分の意見やアプローチが優先されるような雰囲気を作り出し、他の参加者が自分の提案に従いやすくするようにしむけるのである。 例えば、 「喫緊の課題は○○であり、何を置いてもこの問題を解決しなくてはならない」 と大声で誰かが冒頭に話せば、なんだかんだで、○○について初めに議論をすることになってしまう。
また、最初の段階で、自分たちに不利になる方向に話がいかないように話をつぶしてしまうといったことも行われる。 「それは今日の話題ではない」 誰かが自分の弱みにつながりかねない話を持ち出した際に、このような言葉を使って、提起された問題や意見が今回の会議で採り上げられないように排除するのである。 ● 会議の中盤の大声 目的:主導権の確保 中盤では、すでにいくつかの意見や提案がなされている状態である。ここで大声を出すことは、自己の主張を強調し、他の意見を抑えつつ議論をコントロールする試みだといえる。意見の対立が顕著になるタイミングでもあり、自己の立場を強固なものにしようとする動機が働いている。 「現実的に無理なことを議論しても仕方がない」 このフレーズは、提案された変更やアイデアが実現不可能であると主張して、追加の討議を抑制するために用いられる。 「上がOKと言うわけがないだろ」 これもまた提案された変更やアイデアが上司によって認められないと主張して、さらなる討議を抑制する。 「今それを話す時じゃない」 これは、特定の意見や議論がタイミングに適していないと主張することで、その話題を遅らせる、または避けるために使われる。