〈KOYORI〉の新作が、コペンハーゲンで発表に。マイケル・アナスタシアデスとガムフラテージに聞きました。
日本のものづくりの技術の高さを世界に伝えるブランド〈KOYORI〉。6月にコペンハーゲンで開催された『3daysofdesign』では、マイケル・アナスタシアデスとガムフラテージによる新作が発表になった。現地よりアナスタシアデスとガムフラテージへのインタビューをお届けします。 【フォトギャラリーを見る】
●マイケル・アナスタシアデス「クルンとなった木屑のようなチェアをイメージしました」
ーー今回は照明ではなく、家具のデザインなのですね。 これまでも、ハーマン・ミラーやトーネットなどで家具のデザインもしています。いろんな意味でプロセスが異なるので、照明と家具のデザインの比較は難しいですが、どちらも楽しい面とチャレンジングな面があります。今回〈KOYORI〉から発表したのは〈Makuri〉という名前のラウンジチェアとオットマンです。 ーー日本のメーカーとの初めての仕事はいかがでしたか? それはもう、他国のメーカーとはかなり異なる体験でした。日本の製品は精巧だとか、手仕事が丁寧だとか、そういう認識は持っていましたが、まさか半ミリ単位で精巧さを追求するとは! 木という天然素材の製品でそれですから、かなり驚きました。デザイナーの意図をリスペクトし、できる限り正確に製品化しようという真摯な姿勢と技術は、これまでの自分の体験のなかでも前例のないものでした。
ーー〈Makuri〉について具体的にお聞かせください。 当初からシンプルなイージーチェアをイメージしていました。木をカンナやナイフで削ったときに出る、クルンと丸まった木屑のような、まるでデザインされてないかのような感じを表現したかったんです。〈KOYORI〉 とダイアローグを重ねるなかで、プライウッドで表現しようということになり、山形の〈天童木工〉で作ることになりました。 座面と背面がプライウッドで、あとの部分は無垢材です。ジョイントの仕方などを工夫し、構造的にも無駄なものを省くことができました。繊細な職人技が感じられると思います。 ーー天童木工には行かれたのでしょうか? いえ、実際に工房には足を運ばずでの作業でしたが、デザイン画を正確に形にしてもらえました。プロトタイプがロンドンのスタジオに届いたときは感動しましたね。どこも修正するところがない出来栄えで。ラウンジチェアとオットマンのペアですが、オットマンはスツールとしても使えます。座面に布かレザーを張ったタイプもあります。 ーー〈MAKURI〉という名前は? 「雪まくり」という日本語からいただきました。雪がシート状にまくれ上がって、ロール状になる自然現象のことだそうです。名前をどうするかはずっと悩んでいましたが、〈KOYORI〉の社長がいろいろ考えてくれて。木をカンナで削ったような当初の作品のイメージにぴったりの名前で、「これだ!」と思いました。命名されたことで、作品で表現したかったポエムが完結された気持ちです。英語にはない言葉ですから、いろんな意味で日本でしかできなかった作品だと思います。