かかりつけ医だからできること 淺井亮太獣医師「動物の命を輝かせるお手伝い」
命を輝かせるためにできること
淺井先生が獣医師になって20年。2007年に開業してからいまにいたるまで、年中無休、夜間救急対応を続けています。 「いまはスタッフとシフトを組んで働いていますが、開業当初は自分一人だったので、文字通り24時間、仕事をしていました。日光に当たらないから真っ白になっちゃって(笑)。いま思えば無計画すぎますが、動物の命に休みはないという思いはいまも変わっていません」 そんな淺井先生が将来の夢として獣医師を考えるようになったのは、小学4年生のときでした。 「小学生のときに戸建てに引っ越したのをきっかけに、どうしても飼いたいと親に無理を言って、犬を飼い始めたんです。もう、その子がかわいすぎて。犬のためになる仕事をしたいと最初に思ったのが、この頃だったと思います」 時が経ち、大学ではオリンピックを目指すほど「カヌースラローム」に没頭した淺井先生。就職では、教員になることを目指しましたが挫折してしまいます。 「挫折は自分の人生を見直す機会となりました。日々の生活の中で子どもの頃の夢からはいったん離れていましたが、過去を振り返ったときに、『獣医師』という3文字が自然と頭に浮かびました。そこからは猛勉強。獣医師になるための大学に編入学しました」 そうして幼い頃の夢を叶えた淺井先生が獣医師として大切にしているのは、動物の命を輝かせること。 「生き物には寿命がありますから、死ぬことは避けられません。だからこそ生きている間は輝かせてあげたい。そのお手伝いをしたいと思っています」 淺井先生が代表を務めるテリアグループでは、飼い主さんと二人三脚で、家族である動物の健康と幸せを見守るのはもちろん、動物に対する考え方や病気についての知識を学んでもらう教室を無償で開催したり、情報を発信したりと、飼い主さんと動物が幸せに暮らすためのサポートにも力を入れています。
動物も人も、みんなが幸せな世の中を目指して
また、年中無休、夜間救急対応とあわせ、淺井先生が開業当初から続けているのが健康診断です。 「僕は、人と動物が幸せになるためにどうすればよりよい世の中になるかを考えて行動するようにしていて、健康診断もそのひとつ。人間の何倍も加齢のスピードが早い動物たちにとって、健康診断は健康管理とリスク管理の要ですから。でも、僕が開業した当時は健康診断をしている病院はほとんどありませんでした」 開業からしばらくして淺井先生は、全国の獣医師がチームとなりペットの予防医療と健康管理の普及・啓発活動に取り組む「一般社団法人Team HOPE」を立ち上げた太田亟慈先生と知り合う機会に恵まれました。 「健康診断は将来的に絶対必要なことで、業界全体で、みんなで力を合わせてやっていこうというお話を聞いたときに、そうすればきっと幸せな動物が増えるだろうと思いました。すぐに賛同して、いまは副代表として運営にも携わらせていただいています」 また、獣医師が主体となって機能障害をもった犬や猫を保護し、無償で治療して新しい家族に送り届ける活動を行う「Team BOWWOW」にも参加。賛同病院として動物の治療にあたるほか、淺井先生はTeam BOWWOWで治療した犬を家族として迎えてもいます。 動物の命を輝かせるため、一つひとつの命に真剣に向き合い、飼い主さんに寄り添う淺井先生には自慢があります。 「かかりつけ医として僕が診ている子たちは、健康診断をしっかりしていることもあって、長生きする子が多い。そして亡くなった後にほとんどの飼い主さんが僕にあいさつにきてくれるんです。『先生、最期まで幸せだったよ』と言ってもらうたび、こちらこそありがとうという気持ちになります」 淺井先生が目指すのは、「動物も人も、みんなが幸せな世の中」。 「まず獣医師の仕事に誇りをもって自分が幸せだと思うこと。そして動物はもちろん、人も幸せにする気持ちで頑張ること。その結果、動物病院は、動物も人もリラックスできる、ホスピタリティあふれる場になり、社会全体がそういう場になれば、みんなが幸せなよりよい世の中になるでしょう。そのために努力し続けていきたいと思います」