大ヒット作にも負けない個性…知られざる「魔法少女アニメ」今こそ観たい“隠れた良作”
魔法少女アニメの流れをくむ『美少女戦士セーラームーン』が1992年から放送開始。その大ヒットを受け、90年代の半ばから後半にかけては、さまざまな魔法少女アニメが群雄割拠していた。 ■【画像】「えっ、可愛すぎ…」今でも通用しそうな秀逸なキャラデザ その時代を代表する魔法少女アニメとして、真っ先に思い浮かぶのは『カードキャプターさくら』や『おジャ魔女どれみ』あたりだろうか。 しかし、それ以外にも隠れた良作といわれる魔法少女アニメも存在する。少々マイナーかもしれないが、それぞれ個性的でしっかりとインパクトを残した、90年代後半放送の魔法少女アニメを振り返っていこう。
■コンピューター用語が続々飛び出す!? 斬新な魔法少女モノ『コレクター・ユイ』
電脳空間モノといえば『ソードアート・オンライン』や『.hack』などのVRゲームをモチーフにしたものが定番。しかし、それらよりも早く電脳空間を取り入れたのが、魔法少女アニメ『コレクター・ユイ』(1999年放送開始)である。 同作は、ふとしたきっかけで、仮想空間「コムネット」を守る「コレクター(訂正者)」となった主人公「春日結」が奮闘する物語。地・水・火・風の4つの属性を持つ仲間たちが、やはり属性に対応したフォーム形態を駆使して戦うこととなる。 舞台となるのは五感すべてが反映されるフルダイブ式の仮想空間で、今でこそ珍しくない表現方法だが、当時としては新鮮だった。 ほかにも二段変身フォームといった概念や、電脳空間で活躍するという要素を魔法少女モノに組み合わせたのは、現在でも通用する発想ではないだろうか。とくに戦闘シーンの映像クオリティが高く、主人公である結の性格も明るくかわいかったので、男女を問わず多くの視聴者を魅了した作品だった。
■「リカちゃん」人形がまさかのアニメに!? 『スーパードール☆リカちゃん』
タカラトミーから発売されている大人気人形「リカちゃん」を知らない人はいないはず。その「リカちゃん」からのスピンオフ魔法少女アニメが『スーパードール☆リカちゃん』(1998年放送開始)だ。 もちろん主人公は「香山リカ」。人形の「リカちゃん」と同じ名を持つ小学3年生のリカは、なぜか悪魔デヴォールから狙われており、その脅威から守ってくれるのが「ドールナイツ」と呼ばれる人形たちである。 同作では、リカを狙うデヴォールの手下たちと、リカを守るために奮闘するドールのバトルが描かれる。 魔法少女モノの流れをくんでいるがリカ自身に戦闘能力はなく、守護神であるドールナイツを呼び出せる特別な力を持っているのみ。そのため戦闘パートを除くと、普段のリカの学園生活がメインに描かれていた。 リカの周囲には同級生の友だちと頼れるお兄さん、そして温かい家族たちがいる。そんな穏やかな日常生活と、激しい戦闘シーンのギャップが見どころだった。 基本的に普通の小学生であるリカ自身には戦う力がないため、戦闘シーンではドール頼みとなる。それも敵を討ち倒すのではなく、彼女を守ることに重きを置いた駆け引きが繰り広げられるのもおもしろいところだ。 それに敵に狙われたリカを守ることが大事なので、周囲にいる個性豊かな彼女の友だちにも活躍の場があった点もうれしかった。 そして悪役である「スケアクロウ一味」はどこか憎めず、ほとんどの登場人物が優しいという牧歌的な雰囲気にも味がある。そのうえ本人は戦わない少々変わり種の魔法少女モノなので、印象に残っている人も多いのではないだろうか。