スキマスイッチが「第二の故郷」大阪で語った新たな挑戦
デモをいただいてわぁーっとなった「Ah Yeah!!」
──この曲をこの方にやってもらおうというのは、二人で決めたのですか? 大橋:はい、二人で相談して決めました。いわゆる代表曲と言ってもらえるような曲を集めたベストアルバムというよりは、この人にはこの曲を、と選んでいったのでアルバムの中の1曲の方もいます。 ──どれも思い出深いと思いますが、特に印象的だった曲を教えていただけますか? 常田:そうですね、全部と言いたくなりますけどね。デモをいただいてわぁーっとなったのは澤野弘之さんとの「Ah Yeah!!」。サントラの活動をされながら自身のヴォーカルのプロジェクトもやられているので歌物も好きかなということでお願いしました。デモを聴いた瞬間、ライブでも定番の軽快な曲がすごく重厚な、澤野君でしか出せないサウンドになっていてすごいなあと。1音目から色を出してくださって、テンポやコード進行も違って。アップテンポなものをスローにするのはかなり勇気がいると思うんです、ビート感も変わりますし。それを躊躇なくやってトラックもかっこいい。ここあくんだ、ここ静かになるんだとか構成も変わっていて、それは自分にはないもの、スキマスイッチにないものでした。 ──お二人が澤野さんの大ファンだったとか? 大橋:そうですそうです。 常田:大好きですね。お会いしたことなくて「初めまして」でしたが、けっこうクールな方なのかなと思っていたらすごくフレンドリーで、今回の中で数少ない年下でしたが、垣根なくしゃべれる空気を作ってくださる方なので一緒に楽しく作業できました。
BENNY SINGSとは初めて体験するやり方で
大橋:僕は……そうですね、BENNY SINGSというオランダのアーティストさんとの「晴ときどき曇」)。BENNY SINGSって全部自分で楽器を演奏して録音も自分でやるっていう宅録のスタイルで曲を作っているので、オランダの彼のスタジオに歌を録りに行ってBENNY SINGSがパソコンで録音ボタンを押している横で歌ったんですが、初めて体験するやり方で。 僕もそうですし、たいがいの人は流れもあるので曲の頭から順番に録っていくと思うんですが、BENNYの場合は「最初にどっから歌う?」って。僕にはその発想がなかったんで「Aから録ります」って言ったら、「じゃAを録ろう」とAだけ何本か歌って、「どう?」って聞くと、「もうちょっとソフトに歌ったテイクもくれ」って言われて、また歌って、そうすると「OK、これで今から作るから待っててくれ」と。 一回歌うのをやめて待っている間にセレクトして1番のAメロを作る、じゃあ次は2番の同じところを歌おうと2番にとんで、そこでも同じ録り方をして、次はサビを録ろう、Bメロを録ろうとバラバラに録っていく。 こういうふうに海外のアーティストさんは録っているのかなと思って、「BENNYの歌もこういうふうに録ってるの?」と聞いたら、「そうすることが多い」と。海外だと一言ずつ、例えば「I Love You」なら、「I」だけ録って「Love」だけ録って「You」だけ録ってみたいにバラバラに録っていくアーティストもいるって聞いて、BENNYは「そういうやつらはクレイジーだ」って言っていたんですが、僕にとっては十分BENNYもクレイジーな録り方だったんで、けっこう衝撃的でした。BENNYはそんなに日本語がしゃべれないので、言葉の意味を考えるよりは素材っぽく楽器の一つの感覚で録っていたのかなと。 ──完成したものを聴いたときはいかがでした? 大橋:ああ、こうやってまとまるんだなあって。確かに効率もいいですし精度も上がるというか、なるほどなあと思いました。