加藤和樹が再演「裸足で散歩」で真摯に向き合うコメディー作品の魅力とは
2022年に上演したブロードウェー発のハートフルコメディー「裸足で散歩」が、9月27日の大阪公演を皮切りに、再び幕を開ける。再演では、主演の加藤和樹さんをはじめ、初演から続投の座組に新キャストとして福本伸一さんが加わった。1960年代冬のニューヨークを舞台に、丁々発止の会話劇が全国17都市を駆け巡る。 初演に続いて加藤さんが演じるのは、生真面目な夫・ポール。コメディー作品だからこそ「お客さんに温かい気持ちになってほしい」と語る加藤さん。再演ならではの楽しさや、コメディー作品の難しさ、本作の魅力について話を聞いた。まもなく40歳の節目を迎える加藤さんが、役者として舞台に立つ上で大切にしてきたこととは?
――ポールを演じるのは、2年ぶり。再演が決まった時のお気持ちは? 「素直にうれしかったですね。少人数で作り上げる楽しい作品でもありましたし、『このメンバーでまた何かやれたらいいな』とずっと思っていたので。僕自身、コメディー作品に出演するのはこの作品が初めてなので、ポールとしてまた舞台に立てるのが楽しみです」 ――コメディー作品はお好きですか? 「コメディーって、素が面白い人たちがやるイメージがあるんですけれど、自分が面白いかどうかは分からなくて…。でも、面白いことは好きなんです(笑)。僕は、作中で命を落とす役を演じることも多いんですけれど、この作品はハッピーな作品で毎日楽しく過ごせているので、コメディーっていいなって思います」 ――コメディーの難しさや課題点は、どのような部分で感じられていますか? 「やっぱり戯曲の中にある“面白さ”を演劇としてちゃんと見せなければいけないという部分が難しいです。物語の人物は、誰かを笑わせようと思って生きていないので。役の感情になって真摯(しんし)に演じた結果、自然と湧き起こる笑いが“コメディー”だと僕は思うんです。だから役者が、演じながら笑いを取りにいったら駄目なんですよね。生のお芝居から生まれる笑いを作り出せたら、それが正解なんだと思います」 ――狙いに行ってしまうと、逆に冷めてしまう部分もあるのでしょうか。 「そうですね。もちろん、『絶対にここで笑ってもらいたい!』というシーンも戯曲の中にあるんですよ。でも、笑わせたいから面白いことをするのではなく、例えばお酒に酔っているシーンだったら、それを真剣に演じた結果、お客さんから笑いが起きるのが理想だと思うんです。まあ、そうは言ってもほしがってしまう時があるんですが(笑)」 ――やっぱり、ご自身の演技で笑いが起きると気持ちがいいですか? 「すごく気持ちいいもんですね。これはちょっと癖になっちゃうのも分かります。でも別な土地に行って、違う回で同じような笑いがもらえないと、テンポ感がズレて後々それを引きずってしまうんですよ。」