加藤和樹が再演「裸足で散歩」で真摯に向き合うコメディー作品の魅力とは
――そんな加藤さんが演じるポールは、生真面目なゆえに“面白い”人物です。 「ポールは、ちょっとズレているんですよね。真面目だからこその面白さがあって、ジョークを言ってもかなり滑る(笑)。そのズレを、『ポールって何だかかわいいな』と思っていただけるとうれしいですし、その結果笑っていただけたら大成功です」 ――ポールは個性的な人物に振り回される役どころですが、再演ではどのような点を意識して稽古されていますか? 「初演では、会話のスピードやテンポをすごく重視していたんです。売り言葉に買い言葉じゃないですが、ポールは奥さんのコリー(高田夏帆)や、その母親・バンクス夫人(戸田恵子)、ヴェラスコさん(松尾貴史)に対するリアクションが、一番多いんです。今回は、テンポ芝居の中にもちゃんと感情の動きがあるっていうことを、より丁寧に作るように意識しています」 ――夫婦の掛け合いは、本作の大きな魅力の一つですね。 「今回は、初演以上にコリーの話にしっかり耳を傾けるように意識しています。『コリーの言葉に対して、ポールはどういう感情になるんだろう?』『ここではこういうリアクションが取れるな』といったことを常に考えていますね。実際に今日の稽古でも、感情を最優先するパターンをやってみました。その感情をベースにテンポアップすれば、よりお客さんに届くものになるっていうことを確信しながら、楽しく稽古しています」 ――ラブラブな新婚ながらも、性格は正反対の2人。衝突することも少なくありません。 「演出の元吉(庸泰)さんが言ってくれたことなんですけれど、お互いの話に耳を傾けていても、それでもズレてしまう面白さがあるんですよ。はたから見ていて“全然お似合いじゃない”って言ったらアレですけど、正反対の2人だからこそ一緒にいられる部分もあるし、衝突もする。見てくださる皆さんにも『分かる、分かる』と共感しながら見ていただける部分がたくさんあると思います」