<ボクシング>村田、次戦で中国・上海進出が急浮上!
ロンドン五輪金メダリストでWBCミドル級4位、IBF同級5位の村田諒太(29歳、帝拳)のプロ転向9戦目となる次戦に中国・上海を舞台にしたビッグマッチが浮上していることが、15日までに海外の情報筋から明らかになった。村田が契約を結んでいる世界的な大物プロモーター、ボブ・アラム率いるトップランク社は、世界挑戦に失敗した元五輪2大会連続金メダリストで、中国の英雄、ゾウ・シミンの再起戦を1月30日に中国の上海で予定している。そのアンダーカードに同じく五輪金メダリストの村田を登場させたいという。 トップランク社は、マカオのカジノホテルを中心にこれまで積極的にアジア進出をはかっており、村田も第3戦で、マカオのリングに上がったが、これが、本格的な中国大陸への上陸となる。 中国では、2012年にWBC世界ミニマム級王者、熊朝忠が誕生したことで、豊富なスポンサーマネーとテレビ中継されていることをバックにボクシング、キックボクシングなどの格闘技が人気だが、中国独特の許認可の壁などがあって、北京、上海などの大都市でのビッグファイトの実現は難しかった。2009年には、当時、WBC世界フライ級王者だった内藤大助の5度目の防衛戦が上海で予定されていたが、直前に中止になることもあった。今回、国民的スターである、ゾウ・シミンのネームバリューを背景に上海に本格上陸することになるが、今後、拡大が予想される中国市場で村田の名前をアピールするにも絶好の機会だ。
村田は11月7日に“聖地”米国・ラスベガスデビューを果たした。あのマニー・パッキャオに土をつけたことのあるWBO世界ウェルター級王者、ティモシー・ブラッドリーJr(米国)対ブランドン・リオス(米国)、元五輪金メダリストのWBO世界フェザー級王者、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)対ロムロ・コアシチャ(メキシコ)のアンダーカードという豪華な舞台で、元世界ランカーのガナー・ジャクソン(ニュージーランド)と対戦して3-0の判定勝ちを収めた。 試合内容は、村田の長所を存分に活かした圧勝だったが、村田の名前を世界のマーケットに売るという意味ではインパクトを与えることはできなかった。村田自身も「自分のボクシング人生で最低の試合」と大反省していたが、さっそく今度は、上海というまた新しい舞台で下がった評価を挽回するチャンスが巡ってきそうだ。これもプロモーターの大きな期待感に加え、村田に魅力的な商品価値がある証拠だろう。 2016年は、村田がついに世界挑戦を目論む年。ミドル級は、先日、WBC王者のミゲール・コット(プエルトリコ)が、サウル“カネロ”アルバレス(メキシコ)に敗れて王座転落、早くもカネロvsトリプルGの異名をとる3団体統一王者(WBAはスーパー王者、WBCは暫定王者)のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との対戦が噂されるなど活気づいている。村田がいきなりここに割って入るのは到底不可能だが、村田が結果を残し続ければ、4団体あるタイトルのどこかにチャンスは生まれる。 その意味でも参戦がプランとして浮上してきた上海でのプロ9戦目が、2016年を世界挑戦の年にできるのか、どうかの試金石となる重要な試合となりそうだ。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)