日本製鉄 森高弘副会長 決算会見 USスチール買収成立を確信
――未曽の厳しい市場環境が続くが、先行きの需要をどうみているか。 「2024年度の国内鋼材消費は前回予想の5100万トンから今回5050万トンに減る予想に変更した。上期に減少したが、自動車の減産が大きい。下期に自動車生産は少し戻るとみているが、建築・土木は人手不足や資材高の状況が変わってなく、建機、産機は海外の状況が厳しいので間接輸出が伸びない。中国経済がなかなか立ち直らない。中国の需要は足元少し増えているが、具体的な政策の効果など実態を伴わないとあまり変わらないのでないか。海外も厳しく、鋼材輸出は下期にさらに減ると考えている」 ――厳しい市場の中で高い利益を確保している理由は。 「粗鋼生産は相当減少している。スプレッドは少し開いてきているが過去に比べると圧倒的に厳しい。当社はこの数年競争力を強化する施策を続け、体質を強化してきた。厚みのある経営もそうであり、もしカナダのEVRを買収していなければ利益は相当に減少していたことになる。当社の強みは厚みのある経営への投資を続けていることと、もう一つは海外事業の成長であり、これが競合他社との差となっている」 ――USスチール買収の進捗と米大統領選の結果について。 「大統領選は非常に激戦だったが、トランプ氏を祝福し、今後の活躍を期待したい。USスチール買収の案件についてクローズに必要なのはCFIUS(対米外国投資委員会)と独禁法の審査のみ。粛々と進み、現政権の中で判断が下されると思っている。現在進んでいる審査をみると政治性はないとみている。年末までにクローズできると考えている」 「大統領選が終わり、政治色がようやく抜け、全米鉄鋼労働組合との議論が進むと思っているし、建設的な話し合いができると思っている。トランプ氏が遊説に行った時にUSスチールのモンバレー製鉄所の組合のリーダーたちがトランプ氏を支持すると伝えた。その夜にFOXテレビに組合のリーダーが出演し、日本製鉄の案件を支持していると発言しており、これは大事なことだったと思っている。当社の取り組みへの理解が浸透しており、現場の方々が本件を求めている。トランプ氏から今月に入って本件について否定的なコメントは出ていない。クローズに向けて話が進むと確信を持っている」