旦雄二の監督作「少年」25年を経て完成、小林且弥・中村愛美・筒井真理子ら共演
旦雄二の監督作「少年」が25年の時を経て完成し、3月29日から4月4日まで東京・K's cinemaで限定公開されるとわかった。 【動画】映画「少年」特報はこちら 本作は、家庭や学校になじめずカリスマシンガーMyuのラジオにだけ心を許す16歳の高校生・ジュンを主人公に据えた社会派青春作品。国旗国歌法成立直後の卒業式でたまたま起立斉唱しなかったことが政治行動と決めつけられ、彼の日常は思わぬ方向へ動き始める。1999年にクランクインし、2006年に仮編集版がアップ。未完成ながら2007年にドイツのニッポンコネクション、スペインのバルセロナアジア映画祭で上映された。その後も旦の執念により制作が続けられ、3時間の上映尺で完成。72歳の旦は本作で劇場用長編映画デビューを果たす。 ジュンを演じたのは、のちに「凶悪」「あゝ、荒野」に出演する小林且弥。彼にとって本作が映画デビュー作となった。さらに、父親に売春を強要されている少女のぞみ役で「二ライカナイからの手紙」「血を吸う宇宙」の中村愛美、Myu役で「プラトニック・セックス」の留奥麻依子が出演。筒井真理子、伊丹幸雄、坂元貞美もキャストに名を連ねたほか、織本順吉や映画監督・鈴木清順も出演した。 本作を“もう一人の私の物語”と称する旦は「少年たちに、そしてまた、かつて少年であったすべての大人たちに、この映画が多少なりとも響き、なにかを共有できたならば、作者として、それにまさるよろこびはありません」と語り、小林は「もう20年以上が経過していることに、言葉にならない感慨と記憶が蘇ります。この映画にはただの劇映画に収まらない何かを感じて止みません」とつづった。なお映画監督の福島拓哉は「かつて僕らは知っていたはずだ。いつだって、大人は判ってくれない」とコメントを寄せている。YouTubeでは特報が公開中だ。 ■ 旦雄二 コメント 映画「少年」は、なかば、私の「自伝」です。ありえたかもしれない、もう一人の私の物語です。いまの少年たちは、私たちのころよりもはるかに苛酷で悲惨な時代を生きています。未来をになうはずの彼らがこれからどうなるのか、どこへ向かうのか、とても気がかりです。そんな彼ら少年たちに、そしてまた、かつて少年であったすべての大人たちに、この映画が多少なりとも響き、なにかを共有できたならば、作者として、それにまさるよろこびはありません。