どうなる?!佐々木朗希と白井球審の“激怒詰め寄り騒動”の今後…“古き良き時代”に見る両者の良好な関係とは?
三宅氏は、ミーティングでは、必ず、その日の審判に対する注意事項を付け加えた。白井球審同様に激高型の審判もいたという。 「今や審判部でも立派な立場になっている阪神OBの眞鍋審判なんかは、若い頃は、すぐ頭に血が上って、投手やキャッチャーが不服そうな態度をすると、すぐに“何や?”なんて怒鳴っていた。審判を敵に回して得になることはひとつもない。彼が球審のときは投手も捕手も怒らせるような態度は気をつけた方がいいという話をミーティングで必ずつけ加えた」 現在は、サブクルーのチーフという責任ある立場になっている眞鍋勝已審判も若い頃は激高型で、バッテリーが不穏な態度を見せて心証を悪くしないように注意していたという。 故・柏木敏夫審判は、激情型で、中日、大洋で監督を務めた故・近藤貞雄氏とは怒鳴り合いを演じて、2度退場させるなど“犬猿の仲”とされていた。しかし、実は、裏では意見を交換しあうような良好な関係で、両者の激突も試合を盛り上げるためのパフォーマンスの一面があったという。 「柏木さんの怒り方は、今回の白井審判の態度とはまったく違うんだよね」 その柏木審判のストライクゾーンは日によって極端に変わった。 三宅氏は、球審と試合前に必ずコミュニケーションを取るように心掛けていた。 「きょうは早く終わらせるぞ」 世間話で、そんなつぶやきがあったときは、ストライクゾーンが広い日。ただちに選手へ「今日のストライクゾーンは広めになるぞ」と報告したという。 当時もビデオ映像はあったが、現代のように、あらゆる角度からの映像や超スロー映像などの精密なものがなかった時代だったため、ネット裏で、ストライクゾーンを正確にチェックしているスコアラーと審判は密接な関係にあり、今なお、還暦野球連盟で活躍中の福井宏審判は、よく三宅氏に逆に問いかけてきた。 「福井さんは、よく『どの試合の何回の打者が誰の時の何球目は、ストライク、ボールどっちだった? 自分でもちょっと疑問があったんだ?』というような話を聞いてきた。『あれはボールでした、ストライクでした』と言うと、『そうかそうか』と納得して、もしうちに不利な判定であれば、どこかで借りを返してくれていた。審判も人間。失敗はある。そこに信頼関係があれば、そういう貸し借りの関係も成立してくるんだよね」 佐々木は、25日、疲労を考慮され登録を抹消された。次回登板は5月5日以降となるが、ストライク、ボールの微妙な判定に対して、佐々木がどういう態度を取るのか、審判団はどう対応するのか、に注目が集まることになるだろう。 三宅氏は、こんなメッセージを送る。 「佐々木は、今後間違いなく球界を代表する投手になっていく逸材。審判を敵ではなく、一緒に野球界を盛り上げる先輩、仲間だと思って、リスペクトし笑顔で挨拶するなどコミュニケーションを取ることが重要だと思う。今回のことを気にするなというのは難しいかもしれないが、気持ちの持ち方ひとつで変わるものだと思う。感情の起伏を抑えることが冷静なピッチングにもつながっていく」 今回の騒動を佐々木はひとつの“教訓”として、さらなる進化への糧とすればいい。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)