若き社会起業家が挑む観光客のマナー問題、旅行者の行動変える「ツーリストシップ」、その活動と誕生の背景、目指す未来を聞いてきた
「2030年頃には世界に広げていきたい」
田中さんは、2023年8月12日の国際青少年デーにイギリスのDTTT社から、その社会起業家としての活動が評価され、世界の若者9人に選ばれた。観光による持続可能な地域づくりが目指されている中、旅行者のマナー問題は世界的な課題。ツーリストシップでは、カナダ・ビクトリア市やハワイ州観光局とも意見交換を続けているという。「来年の万博までは国内でツーリストシップを定着させて、2030年頃には世界に広げていきたい」と田中さん。 観光庁が新たな作成した「未来のための旅のエチケット」では、初めて「Touristship for all Travelers」という文言が使われた。 2024年ほど、世界的にオーバーツーリズム対策が耳目を集めた年はなかったかもしれない。日本では、コンビニ越し見える富士山の撮影による迷惑行為を防止のために黒幕が貼られたのは世界的なニュースになった。混雑回避の一つの手段として「手ぶら観光」のデジタルソリューションがさまざまな事業者からリリースされている。観光地の渋滞緩和としてパーク&ライドの実証も各地で行われている。 「私たちは、ハードではなく、ソフトだけに特化して旅行者の認識を変えていきたい。感情の選択肢を提案することで、旅行者と地域住民が交流してけるような魅力的な観光にしていきたい」と田中さん。ツーリストシップという言葉にその思いが凝縮されている。
トラベルボイス編集部