【緊急調査】東京都庁も導入発表!! 「週休3日制」って実際どんな感じですか?
■週休3日制の導入は組織によって明暗 ならば、企業や自治体側の意見はどうか。IT業界大手のLINEヤフーは、2017年4月から選択的週休3日制を導入してきた。広報担当者が語る。 「当時、従業員の平均年齢が約36歳となり、介護などを理由に退職せざるをえないケースが出てきていました。そのため、家族のサポートをしながらでも安心して働ける環境づくりを目的に、育児・介護を抱えている社員の働き方の選択肢を増やす『えらべる勤務制度』というワークスタイルの提供を開始しました。 対象は、小学生以下の同居する子を養育する従業員、および家族の介護をしている従業員です。申請者は土日の休みに加え、1週当たり1日の無給休暇を取得できます。増えた休日は、学校行事への参加、学習・受験のサポート、療養リハビリ、介護負担の分散などに活用されています」 従業員の評価も上々だ。 「社内からは『育児のコミュニティに参加して自分の世界が広がった』『子供の夏休みなどに合わせてフレキシブルに取得できるのがうれしい』などの声が上がっています。 また、『この制度のおかげで退職せずに済んだ』『育児や介護との両立が可能になり、心身にゆとりが持てるようになった』といった意見もあり、離職の抑制やパフォーマンス発揮につながっていると考えています」 一方、週休3日制を試してみたことで、かえって導入の難しさを実感したという事例もある。23年の8月から9月にかけ、選択的週休3日制を試験的に導入した群馬県の前橋市だ。市役所広報担当者が次のように振り返る。 「実際に体験した希望者からはおおむね好反応だったものの、現状では組織全体での活用は見送るという結論になりました。 というのも、事務作業が中心の部署はいいのですが、市民の窓口対応が主の課では、従来と同じサービスの提供が困難になります。つまり、組織内で週休3日制を実施できる課とできない課があると明確になったのです」 しかし、東京都など自治体の導入例は増えているが? 「都庁や県庁は市区町村の役所とは違い、窓口業務が中心の組織ではありません。市区町村の役所は市民に対する行政サービスの窓口としての役割が大きく、『週休3日制なので平日も窓口を閉じます』とはなかなか言えません。 民間企業もそうだと思いますが、週休3日制はどのポジションでも職員の業務形態が似ている組織、例えばデスクワーク中心の組織なら導入しやすいはずです。市区町村の役所にはサービス業のような業務内容の職員もいれば、事務中心の職員もいます。部署によって業務形態が大きく異なるのです。 そのため、同じ組織で働いているのに、業務都合で週休3日を取得できない職員が出てしまう。このまま週休3日制を導入したら、職場間で不公平感が生じてしまいます。実際、『自分の部署では取得できない』という不満の声は試験導入時から少なからず出ていました」 そのため、前橋市では現在、週休3日制の代わりに、「窓口対応のオンライン化を進めるなど、デジタルを活用することで業務効率化を図り、少ない人員でもスムーズに行政サービスが提供できる体制づくりを目指している」という。週休3日制の導入が、あらゆる組織で人手不足の解消につながるわけではないようだ。