「将棋AIはいかにして進化したのか」...AI発展のウラに《自分の武器》を磨くための驚きの「セオリー」があった!
近年注目が集まっているアントレプレナーシップ。「起業家精神」と訳され、高い創造意欲とリスクを恐れぬ姿勢を特徴とするこの考え方は、起業を志す人々のみならず、刻一刻と変化する現代社会を生きるすべてのビジネスパーソンにとって有益な道標である。 【漫画】頑張っても結果が出ない…「仕事のできない残念な人」が陥るNG習慣 本連載では、米国の起業家教育ナンバーワン大学で現在も教鞭をとる著者が思考と経験を綴った『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』(山川恭弘著)より抜粋して、ビジネスパーソンに”必携”の思考法をお届けする。 『バブソン大学で教えている世界一のアントレプレナーシップ』連載第53回 『「アジア人には無理」...その言葉のウラで「日本人」が《9秒台》の記録を更新し続けられる納得の「事実」』より続く
将棋AIに起こっている革命
さらに最近の話題で外すことができないものとして、将棋があります。藤井聡太八冠の活躍に注目が集まっていますが、プロ棋士は例外なく「過去の棋譜」を徹底的に読み込みます。江戸時代の棋譜まで遡ると言います。そこには「定跡」があります。そう、セオリーです。プロ棋士は全員、そのセオリーを頭に叩き込んでいるのです。 初期の将棋AIは、徹底的に過去の棋譜を記録し、その中から最善手を探し出すというプログラムでした。だから、「どれだけ多くの棋譜を読んでいるか」「いかに速く、最善手を発見できるか」という、コンピュータのスペック、プログラムの効率が優先されていました。そして、そのかたちのAIでは、人間と互角まではいっても、なかなか勝てなかったのです。 人間は「過去の棋譜」から学び、次のより良い一手を常に探し出そうとしていたからです。 近年、将棋AIには革命が起こっています。ディープラーニングです。この将棋AIは、過去の棋譜は読み込んでいる。定跡を知っているのです。その上で、「次の一手」を考え出そうとしているのです。ここで、人間と互角以上になりつつあるのだと言えるでしょう。優れたプログラマーは先人のコードを必ず読み込みます。プロ棋士は先人の棋譜を読み込み、そこを自分の研究のスタート地点にします。 スポーツ選手も、先人が経験したこと、理論を活かしていきます。作家で一切先人の物語に触れたことがない人はいないでしょう。漫画家だって、たくさんの漫画を読んできているはずです。それは彼らの血肉になっている。