自動車関連税、見直し論点は? 購入時の負担減が焦点
自動車関連税制について、業界団体が電気自動車(EV)の普及という「新たな時代にふさわしい」制度への抜本的見直しを求めている。柱となるのは車の重量を課税基準とする仕組みの導入や車両購入時の税負担の軽減。業界は2026年度以降の実現を目指しており、25日に本格的に始まった自民、公明両党による税制改正論議の焦点の一つとなる。見直しを巡る論点をまとめた。 ―自動車関連の税の仕組みは。 車両購入時に、消費税に加えて燃費性能に応じて価格の0~3%が課される「環境性能割」をユーザーが負担している。購入後は、排気量が多いほど税額が高くなる2万5000~11万円の「自動車税」が毎年徴収され、車検のたびに、重い車ほど高くなる「重量税」も支払う。ガソリンや軽油には「揮発油税」や「軽油引取税」も課されている。 ―税負担は重いのか。 自動車メーカーでつくる日本自動車工業会(自工会)の試算では、車体価格308万円の車を13年間使用した場合、乗用車の所有者が支払う金額は年換算で約66万円。これは米国の23倍、フランスの9倍以上に相当するという。 ―業界の要望内容は。 購入時に消費税と環境割を支払うのは「二重課税」だと主張。環境割は廃止し、購入後の税金を環境性能に応じて増減し、バランスを取る仕組みを提案している。購入時の負担を減らすことによる市場の活性化が狙いだ。 ―重量を課税基準とする狙いは。 排気量はエンジン車を前提とした課税の仕組み。排ガスを出さないEVの普及で時代に合わなくなるためだ。重いバッテリーを積んだEVは道路に与えるダメージがより大きいとされ、公平性も確保されるという考え方だ。 ―実現の可能性は。 業界は政府・与党が今年末に決める改正大綱に大きな方向性を明記し、25年末までに具体的な制度を詰める筋書きを描く。ただ、環境割を廃止すると地方税収が減ってしまう懸念があり、業界内にも「ハードルは高い」との声はある。