【大学トレンド】留学しなくても…学生の国際意識を刺激する「濃いコミュニケーション」
海外に行かなくても、いつものキャンパスで国際交流ができる大学が増えています。例えば帝京大学では「グローバル化を日常に」をスローガンに掲げ、日本語ランゲージコモンズ「OUCHI COMMONS(オウチコモンズ)」を開設。留学生にとっての「第三の家」を目指す新施設では、どんなコミュニケーションが生まれているのでしょうか。 【写真】「非英語圏」への留学、就活での反応は? フランスで学んだ女子大生の体験談
世界32カ国から留学生が集う、帝京大学の八王子キャンパス。2021年春、このキャンパスの真ん中に「OUCHI COMMONS(オウチコモンズ)」がオープンしました。多目的スペースをリニューアルしてつくった施設には、「茶室」や「縁側」など日本家屋をイメージした和の空間も。日頃はフリースペースとして活用され、日本人学生と留学生の共生交流の場所になっています。 21年はコロナ禍による渡航制限もあり、海外留学が難しくなっていた時期でもありました。国際交流センターの石井公子さんは、こう話します。 「八王子キャンパスの学生数は1万5000人と本学では最多ですが、そのうちの約1000人が留学生です。コロナ禍以前から、国際交流センターの職員には、彼らの『居場所』をつくりたいという意識がありました。せっかく日本に来ているのだから、留学生同士で固まってしまったり、学内で孤立したりすることを防ぎたい。『ここに来れば安心できる』『だれもが交流できる』という場が必要だと話していたのです。そんなときに決まった施設のリニューアルだったので、折よくスペースを確保することができました」 念願がかなって誕生したオウチコモンズ。その名に込めたのは、だれもがここで「第三の家」のようにくつろぎ、気軽に交流してほしいという思いです。 現在、オウチコモンズでは、多彩な取り組みが行われています。新入留学生歓迎会や書道体験、浴衣の着付け体験などといった留学生向けのイベントはもちろん、日本人学生が留学生と一緒に楽しめる催しが多いのも特徴です。 国際交流センターの本橋楓さんは、次のように話します。 「留学生向けのイベントは、日本を知ってもらうことをポイントに企画しています。食を通じた交流は特に人気があり、日本の和菓子作りなどはみんなとても楽しそうに参加しています。留学生から各国の料理や文化などを教わることもあり、先日は『リトルコリア』と銘打って、韓国人留学生と日本人学生との交流会を行いました。また近隣の小学校に留学生を派遣して小学生に英語交流体験の場を提供したり、狂言師を招いて伝統芸能体験のワークショップを開催したりと、オウチコモンズは日本人学生にとっても多彩な学びの発信地になっていると思います」