「結婚したがらない」男子校出身の東大生たち。中学受験で人気の“男女別学”に潜むリスクとは
―[貧困東大生・布施川天馬]― みなさんは映画『26世紀青年』をご存じでしょうか。2006年にアメリカで公開されたブラックコメディで、「頭がいい人たちが出産控えをして、頭のよくない人たちが子どもを産み続けた結果、人類全体のIQが低下した未来」を描いた作品。これはコメディですが、実際にもこの兆候は表れているように感じています。
「子供を欲しがらない」東大の同級生
私の東大の同級生に少なくとも2人の「反出生主義者」がいます。「反出生主義」とは、「人間が生まれてきたことを否定し、新たに人間を産み落とすことも否定する」考え方。子どもを作らない理由は様々でしたが、そのうちの一つは「自分のような人間が子どもを作ってしまうと、いらない苦しみを与えてしまうかもしれないから」でした。 これは非常に面白い考え方のように見えます。東京大学といえば、日本でも最高クラスの大学。ここに入学できるような優秀な頭脳を持っているのに、「自分は子どもを作るに値しない」と彼らは述べている。 もちろん数が少ないのは承知ですが、客観的に見て十分すぎるほど優秀に見える彼らは、自らの能力越しに子孫繁栄を否定している。少なくとも、私とは真逆の考え方です。 私は、「貧乏な境遇を子どもに味わわせないために、高給取りになりたい」と考え、それを達成するために東京大学に進学しました。私の考える「子どもを持つために最低限必要な能力」は、彼らのそれを下回る。 逆を言えば、私よりはるかに優秀な人たちは、子どもをもつ責任を私よりもずっと重くとらえているのです。だからこそ、世間的には十分優秀な能力を持ちながら、子孫を残さない。 ですが、これは単純な責任感の問題ではないようにも思います。反出生主義の彼らに共通するのは、「男子高出身」という点。 中学受験の選択肢として候補に挙がりやすい灘や開成などの中高一貫男子校ですが、これらは子どもの婚姻状況に影響を与える可能性があるのではないかと私は考えています。実際に、男子校出身者は結婚に対して消極的になりやすいとする研究データが出ています。