<解説>「G-レコ」10周年 富野由悠季監督の未来へのメッセージ
人気アニメ「ガンダム」シリーズの「ガンダム Gのレコンギスタ(G-レコ)」が、テレビアニメ放送10周年を迎えた。「G-レコ」は、「機動戦士ガンダム」誕生35周年記念作品の一つとしてテレビアニメ版が2014年10月~2015年3月に放送された。同シリーズの生みの親の富野由悠季監督が「ガンダム」のテレビアニメシリーズを手掛けるのは「∀ガンダム」以来、約15年ぶりとなったことも話題になった。富野監督はこれまでインタビューで「G-レコ」について「50年くらいはメッセージ性として古びないといううぬぼれがあります。そんなうぬぼれがなければ作らない」と語ってきた。富野監督の言葉から「G-レコ」に込められた未来へのメッセージを読み解く。 【写真特集】富野監督 宇宙開発、エネルギー問題 「G-レコ」に込めた思い 独占インタビュー
◇ガンダム的なものを全否定するものを作らないといけない
「G-レコ」は、地球のエネルギー源を宇宙からもたらすキャピタル・タワーを守るキャピタル・ガード候補生のベルリ・ゼナムの冒険を描いた。テレビアニメ全26話に新たなカットを追加した劇場版が全5部作として2019~22年に上映された。
キャピタル・タワーは、宇宙で生産されているフォトン・バッテリーというエネルギー源を地球に運ぶ宇宙エレベーターだ。近年、民間宇宙旅行時代が到来したとも言われている。宇宙開発への関心もさらに高まっている。しかし、富野監督は宇宙旅行に対して懐疑的だ。
「本当にめでたい話です。彼らは結局、20世紀の宇宙に対するロマンにとらわれている。観光客として宇宙に行って、何日耐えられるのか? 朝昼晩の地球の景色を見られるから、それなりに見ていられるだろうと思う。じゃあ、月や火星への観光旅行は成立するのか?っていう話だよね。3日も乗ったら飽きるよ。なのに、宇宙開発とか、移民という言葉も出てきている。20世紀までのSFの見過ぎかなのか? そういうものをそろそろ是正しなくちゃいけない。だから『G-レコ』を作ったんですよ」