ドイツで最大手銀行が誕生も、ウニクレディトがコメルツ銀買収なら
(ブルームバーグ): イタリアの銀行ウニクレディトがドイツのコメルツ銀行を買収すれば、ドイツの最大手銀行が誕生する。ウニクレディトのアンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は文字通り欧州全域に展開する銀行になるという目標の実現に大きく前進する。
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コメルツ銀行を加えれば、ウニクレディトのドイツ部門ヒポフェライン銀行(HVB)は同国内の収入でドイツ銀行を僅差で上回り、国内最大手の銀行に浮上する。HVBとコメルツ銀の昨年の同国合計収入は138億ユーロ(約2兆1500億円)、ドイツ銀は134億ユーロだった。
両行の合併が実現するなら、ウニクレディトのバランスシートは約5600億ユーロ、つまり70%相当拡大する。また、ドイツ経済の屋台骨となっている重要な中小企業顧客へのアクセスも広がり、ウニクレディトには中東欧の主要市場でシェアを伸ばす道が開ける。
メディオバンカのアナリスト、アンドレア・フィルトリ氏はリポートで、ドイツでの規模やポーランドの事業を踏まえるとウニクレディトにとってコメルツ銀行は「最も適している」と指摘した。
オーセル氏はウニクレディトを「欧州の銀行にしたい」と繰り返し述べてきた。欧州の銀行市場は歴史的に分断されているため多くにとっては難しい目標だが、ドイツを含む13カ国で既に事業を展開するウニクレディトはその実現に近い。
ウニクレディトには100億ユーロ(約1兆5600億円)の買収資金があり、銀行資本規制「バーゼル3」を完全に考慮に入れても60億-70億ユーロの余力がある。ブルームバーグはウニクレディトがコメルツ銀買収を以前に検討したことがあると2022年に報じたが、公にはこれまでにそのような動きは一度も取られていない。
この買収にマイナスがあるとすれば、コメルツ銀も大規模に展開するロシアでのウニクレディトの問題がいっそう膨らむことだろう。ロシアの裁判所は今年5月、ウニクレディトとコメルツ銀、ドイツ銀のロシア資産を凍結した。ウニクレディトは同国でのエクスポージャーに関連し、2億2800万ユーロの引当金を計上した。