【バイタルエリアの仕事人】vol.43 森田晃樹|ヴェルディの若き主将が明かす16年ぶりJ1昇格決定時の秘話「PO決勝は根拠のない自信があった」
2023シーズンからはキャプテンに就任
攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第43回は、東京ヴェルディのMF森田晃樹だ。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「 J歴代ベスト11」を一挙公開! ヴェルディのアカデミー出身で、ジュニアからクラブに在籍。高校3年生の時には天皇杯に出場してトップチームデビューを果たした。 その翌年にプロキャリアをスタートさせて、5年目の2023シーズンからはキャプテンに就任。昨季はヴェルディを16年ぶりのJ1復帰に導いた。そんな24歳の若き主将が、昇格を決めた当時の心境を振り返った。 ――◆――◆―― 去年のシーズン前のキャンプが終わった時に城福(浩)監督に呼ばれて、キャプテンをやらないかとお話をいただきました。正直に言うと、最初は自信がありませんでした。チームには僕よりも年上の選手も多いですし、みんなを鼓舞して引っ張るようなタイプでもありません。どうやっていけばいいのだろうという不安はありました。 でも、プロのチームで若い選手がキャプテンをできる機会はなかなかないですし、今後のサッカー人生を考えた時に、必ず良い経験になると思いました。そして、僕のようなアカデミー出身の選手がチームを背負うことに意味がある。そのうえで結果を出せるようにという想いを持って引き受けました。「ヴェルディをJ1に上げた男になる」とデカいことを言ったのですが、それが口だけにならなくて良かったです。 昨季の清水エスパルスとの昇格プレーオフ決勝(1-1)は、なんとも言えないドラマティックな展開で、嬉しいというかほっとしたような気持ちでした。 あの試合では引き分け以上で昇格が決まるなか、自分がPKを与えてしまってビハインドを負いました。やってしまったというマイナスの感情はあったのですが、なぜか根拠のない自信というか、同点に追いつける雰囲気を感じていたのを覚えています。結果的に後半アディショナルに染野(唯月)選手が同点弾を決めてくれて、本当に良かったです。 今季からのJ1での戦いは、やはり技術の部分でJ2との差を感じています。走ったところにちゃんとボールが出る、それをしっかり止める、他にもドリブルの上手さや、守備の強度もそうです。あとはチームとして90分を戦う上で、どのように試合を進めていくかというゲームマネジメントのレベルの高さもあります。全員が流れを感じながらプレーをしているような気がします。 そのなかでも、チームとしては開幕前に予想していたより戦えています。もちろん、勝ち切れなかったり、終盤に追いつかれた試合もありました。もっと上の順位にいるべきですが、現時点では10位と悪くない位置にいると思っています。 やはり全体として、崩れていないのが大きいです。試合後に毎回、課題を明確にしてクリアにしていく作業ができている。それがある程度、勝点を積み重ねられている要因です。 個人としても、最近は怪我で欠場が続いていて、得点などの結果を見ても全然満足はしていませんが、それ以外の面で攻撃の組み立てや守備の部分では手応えを感じています。
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