ゼンリンが取り組む地図の未来とは
■自動運転にも地図の最新技術で貢献 自動車メーカーが取り組んでいる自動運転。その技術を支える重要なデータ生成の研究開発にゼンリンが取り組んでいる。全方位カメラとレーザー、GNSS(人工衛星を使って地上の現在位置を計測するシステムの1つ)が搭載された計測車両によって、高精度地図データを生成。レーザーで取得した情報(細かな点によって形成された点群)と全方位カメラで収集した画像を重ねて、より精密で立体的な地図情報となる。収集される情報は多岐に渡っている。
車道の幅、中央分離帯の位置、坂道のこう配の角度、道路標識など、あらゆる情報が収集される。これらの情報が高精度地図データとして自動運転車に搭載されることで、車載のカメラやレーザーなどで認識した障害物や道路に引かれた車線の位置、幅などの情報とマッチング(照合)する事ができる。また、カメラやレーザーでは判断しきれない数百メートル先のカーブや坂道のこう配の角度などを先読みできるようになる。こうしたデータが、自動運転の際の車線変更、速度調整などに役立てられるとされている。
■ジオ技術研究所の取り組み ゼンリンの100%子会社、ジオ技術研究所の取り組みもユニークなものとなっている。同研究所が提供する製品『WAREM(ワレム)』は、大縮尺地図を見ながら、小縮尺地図を見ることができる、人間の目線に近い地図を実現している。噛み砕いて説明すると、近い場所は大縮尺地図(現在地周辺を拡大した地図)で表示しながら、遠くの目的地付近を小縮尺地図(例えば、富士山や東京タワーなど方角の目印になるものも表示)で表示できる。一見、地味な製品にみえるが、特許を複数獲得するなど、高い技術、開発力によって提供できる製品になる。この技術によって、低価格のカーナビなどでもクオリティの高い地図情報を得ることができる。 江戸時代の測量家・伊能忠敬が『大日本沿海輿地全図』に携わってから約200年。ゼンリンは、徒歩による調査という手法を踏襲する行う一方で、さまざまなハイテクを駆使して、無限の可能性を秘めた地図の開発に取り組んでいる。