関メディベースボール学院中等部が10周年記念祝賀会開催 井戸伸年総監督の思いとは
「関メディベースボール学院中等部10周年&今朝丸裕喜NPBドラフト指名記念祝賀会」が10日、兵庫県西宮市のホテルで開催された。総監督の井戸伸年氏は過去10年の歩みを振り返るとともに、昨年から新規加盟したポニーリーグに対する思いを明かした。 「後輩が作ったのを引き継いだのが1番なんですけど、やっぱり、子供たちにとってどういう環境が求められるのかと自分の中学時代もいろいろ振り返った中で、野球をもっとやりたくなる環境が、1番いいだろうと」 部員6名からのスタートだった。思春期の中学生ということもあって、指導の際に心がけたのはコミュニケーションを密に取ること。並行して野球の技術を高めるために、体の使い方をきっちりと教え込むことにも時間を割いた。中学1年時には練習日に1時間の座学を設定。2、3年時で厳しい練習に耐えられる準備期間として、中学1年時の間に野球を好きになれる環境を整えた。 「いま現時点で起きてる状況に対して何が必要かというところを、常に試行錯誤してきました。時間の経過とともに、自分のチームだけではなく、野球界全体というか、少年野球全体を考えた上でどうするべきかという部分を見てきました。野球は素晴らしい競技。本当に楽しいもんですよと。厳しさの中で、団体スポーツを通じて得るものはすごい大きいと思うので、その部分はしっかり発信してきたつもりです」 井戸氏は育英(兵庫)、徳山大、住友金属、住友金属鹿島とキャリアを積み、02年からの1年間はホワイトソックスとマイナー契約を結び、米国で「ベースボール」を経験した。現地で感じたのは、自己PR力とマネージメント能力の高さ。自らの長所を把握した上で組織に還元していく「米国流」は、中学生を指導していく上でも大切な指針となったことは言うまでもない。 昨年からはポニーリーグに新規加盟した。今季は3学年で総勢145人の大所帯。ポニーリーグは同一チームから複数のチーム構成が可能で、全日本選手権関西大会には計5チームが参戦し、貴重な経験を積んだ。 「積極的にトライしていく土壌がある。中でも一番すごいところは他チームから応援される環境の中でゲームができること。子供たちにとっては大きな財産です。唯一、国際大会があるところも大きな魅力。多感な時期に他国を訪れることで、日本の環境が当たり前でないことを知り、それが日頃のお父さん、お母さんに対する感謝にも繋がっていくと思います」 毎年夏に開催される全日本選手権大会の決勝では、準決勝までに敗退した各チームが球場に詰めかけ声援を送る。優に1000人を超す仲間たちが見守る中での頂上決戦は、他団体にはない試みだ。もう一つの特色がグローバルであること。米国に本部を持つポニーリーグは国際大会も開催され、今年はフィリピンでアジア大会が行われた。 「野球の醍醐味の一つはたくさんの方に応援していただける環境にもあると思います。そういうことも今のうちから子供たちが理解して、応援されるチーム、選手であってほしいと願っています」 今秋ドラフト会議では、中等部OBの今朝丸裕喜が阪神から2位指名された。卒団生では初のプロ野球選手。チームにとって、新たな刺激となりそうだ。