西田凌佑、負傷明けでKO初防衛「倒せて良かったですけど…」 次戦で中谷潤人との統一戦を熱望
プロボクシングのIBF世界バンタム級タイトルマッチが15日、大阪・HOS住吉スポーツセンターで行われた。王者の西田凌佑(28)=六島=が、7回1分37秒で同級14位のアヌチャイ・ドンスア(28)=タイ=にKO勝ちし、初防衛に成功した。約3週間前に右あばらを痛め、スパーリングができないアクシデントを乗り越えて王座を死守。次戦にはWBC世界同級王者の中谷潤人(26)=M・T=との統一戦を熱望した。【観衆=3000人】 チャンピオンの左ボティーの衝撃に、挑戦者はたまらずリングに倒れ込んだ。悶絶して立ち上がるのもやっとの相手を横目に10カウントを聞いた西田は、両拳を突き上げて喜んだ。 「正直、倒せてよかったですけど、プロキャリアの中で一番悪い内容でした」 勝利の直後は反省が口をついた。本来は距離を取り、防御を重視するスタイルだが、この日は何度も鋭いパンチを浴びた。それでも5回にカウンターの右フックでダウンを奪うと、7回に左ボディーで全勝だった相手を沈め、2019年10月のプロデビュー戦以来のKO勝ちを果たした。 「本来の自分とは違うボクシングをしてしまった」という原因は約3週間前の負傷にあった。スパーリング中に右脇腹を打撲。骨に問題はなかったが、それ以降、実戦練習は行えなかった。通常は試合までに100回以上行うスパーリングは70回弱に激減。「パンチを出す強さとか調整がきかず、大振りになった」と実戦感覚が養えないまま、当日を迎えた。 「倒されると思った」と敗北すら覚悟したが、5回に奪ったダウンで冷静さを取り戻し、王者の貫禄を見せた。5月の世界戦では苦戦した減量も今回はスムーズにクリア。近大ボクシング部の同級生で東京五輪候補だった妻の沙捺さんが食事面で手厚くサポート。感謝の気持ちを込め、韓国旅行を計画している。 次戦は「バンタム級で一番強いといわれる中谷選手とやりたい」とWBC世界バンタム級王者・中谷潤人との統一戦を熱望した。「バンタム級が盛り上がっている。その中で一番強いといわれるようになりたい」。主要4団体の世界王座を日本選手4人が独占している階級。西田がその強さを証明する。(西垣戸理大) ■西田 凌佑(にしだ・りょうすけ) 1996(平成8)年8月7日生まれ、28歳。奈良・香芝市出身。王寺工高でボクシングを始め、3年時に国体フライ級優勝。近大卒業後は一般企業勤務を経てプロになり、2019年10月にデビュー。21年4月にプロ4戦目で地域タイトルを獲得し、24年5月にIBF世界バンタム級王者となった。プロ通算10戦全勝(2KO)。170センチ。左ボクサーファイター。
■リングサイドで西田の試合を観戦したWBA世界バンタム級王者の堤聖也 「マッチメークはめぐりあわせ。(統一戦は)タイミングがいつでも僕は逃げないし、話がきたらやる」