”ロシア政府”に見つかれば終わり...電波の届かない国境付近で繰り広げられた生死を賭けた「緊迫の脱国劇」
有刺鉄線が手のひらに食い込む……
森に近づくと懐中電灯の光が見えた。心が躍り、前方へ突進した。 それから30分以上歩いてようやく、わたしたちは黒ずくめの男と合流した。男はわたしたちの荷物をつかむと、しっかりとした足取りで森のほうへ歩いた。 歩きやすくなった。耕作地はようやく終わった。森の中に入ると、泥に足を取られた。 「お嬢さん方、あともう少しで森を抜ける。そうしたら国境だ」男が言った。 「ぬかるんでいないところを踏んで歩くんだ。俺が前に行って灯りで照らすから」 歯を食いしばって進んだ。 一時間後、有刺鉄線の鉄柱が行く手をふさいでいた。 「こっちだ」男は小声で言い、有刺鉄線を持ち上げた。 アリーナがうずくまり、最初に穴を通り抜けた。わたしは這ってその後に続いた。有刺鉄線の針が手の平に食い込んだが、強い緊張のためか痛みは感じなかった。 『泥の中を走りボロボロの車を乗り継ぎ「命がけの逃亡」...ロシア政府に追われたジャーナリストの思わぬ結末とは...!?』へ続く
マリーナ・オフシャンニコワ
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