【薬不足の3つのワケ】ジェネリック・増産・取引習慣...医薬品全体に関係する「構造的な問題」が背景に!?患者側ができることは?【インフルエンザ流行】
全国でインフルエンザの患者が急増するなか、病院や薬局で深刻化する“薬不足”。現場で圧倒的に不足しているのは、感染症関連の「咳(せき)止め」や「痰(たん)切り」などの薬だと専門家は指摘します。他にも、「高血圧の薬」や「精神科系の薬」なども不足しているということです。 【カレンダーで確認】年末年始の病院…いつ混雑?いつ空く? 薬不足の根本的な原因は何なのか?また、年末年始に病院へ行くとき気を付けるべきことは?一般社団法人「医薬政策企画 P-Cubed」の坂巻弘之代表理事ら専門家の見解などをまとめました。
【薬不足の理由1】ジェネリック医薬品が“供給不足”?
薬不足の原因の可能性の1つとして考えられるのが、ジェネリック医薬品(新薬の特許が切れた後に製造・販売される薬で、新薬と同等の効き目・有効成分があると国が認めた薬)の“不足”です。2024年11月現在、全医薬品のうち約2割が“通常供給できていない”状況で… <医薬品の供給状況 2024年11月 日本製薬団体連合会調べ> ▼「通常出荷」→81% ▼「限定出荷」→10.5% ▼「供給停止」→8.4% この2割(限定出荷10.5%+供給停止8.4%)のうちの6割以上がジェネリック医薬品です。国は医療費を抑えるためジェネリック医薬品の利用を促進していて、ジェネリック医薬品の割合(数量シェア)は2024年3月時点で全国平均82.75%と非常に高くなっているにもかかわらず、一部が通常出荷できていない状況です。
ジェネリック医薬品をめぐっては、過去に“不祥事”がありました。2020年、小林化工が製造した薬に“本来は入っているはずがない”睡眠導入剤が混入し、服用した2人が死亡しました。また2021年以降、ジェネリック医薬品メーカーの不正が発覚して処分が相次ぎ、生産能力が低下していったということもあります。 ビジネス的な観点では、そもそも「ジェネリックは儲からない」と、坂巻氏は指摘します。というのも、国が決める「薬価」が下がってきているということです。国は市場価格を調査して決定するため、競争原理が働き、薬価は下がる傾向にあります。一方で、原価・輸送コスト・人件費の高騰で「生産コスト」は上がっているため、ジェネリックビジネスから撤退する企業も増えてきているようです。産婦人科医の丸田佳奈氏は「ジェネリックは、95~98%が仕入れ値だと言われるぐらい、本当に儲けにならないものもある」と話します。