【薬不足の3つのワケ】ジェネリック・増産・取引習慣...医薬品全体に関係する「構造的な問題」が背景に!?患者側ができることは?【インフルエンザ流行】
【薬不足の理由2】薬の「増産」の難しさ
また、薬の「増産の難しさ」も薬不足の背景にあるようです。薬を作るにあたっては、生産の“設計図”である「手順書」を厚生労働省に提出する必要があり、その「手順書」通りに薬を作らなければなりません。ただ、増産の際には製造プロセスの変更が必要となることもあり、その場合、「手順書」の改訂に非常に手間がかかため、薬が不足しているからといって簡単に増産できないということです。 そもそも薬の増産には高い技術力が必要で、整髪料や化粧品の増産とはレベルが違うと坂巻氏は指摘。無理な増産を求めると、不正・不祥事につながるリスクもあるかもしれません。
【薬不足の理由3】現場の不足を把握できていない!?
さらに坂巻氏は、そもそも現場の薬不足を把握できていないと指摘します。医薬品の供給状況は業界団体などが調査していますが、実際の医療現場で「何がどれだけ不足しているか」については定期的に調査されていないようで、丸田氏も「薬局から『在庫がないので出せません』と突然言われる」とコメント。 その背景には、日本独特の取り引き習慣もあるようです。坂巻氏によりますと、病院が薬を採用するときの契約では、メーカー・卸と病院の間で「薬の価格(仕入れ値)」については話し合って決めるものの、「供給可能量」については最初の段階ではあまり話し合いが行われないということです(ヨーロッパでは、価格と供給量をセットで契約)。 供給量について丸田氏は「これからの感染症のトレンドはメーカーもわからないし、なかなか予想も難しい」と指摘し、薬の“備蓄”については、「作っても売れなければ在庫を抱えることになる。国が買い取る制度もなくはないが、全部を買い取るのは無理」だと話します。 坂巻氏は薬不足について、「ずっと起きることは覚悟しなければいけない」と指摘する一方、患者側としては「必要以上の処方を求めない」ことが大切だとコメント。「薬を多めに出して」と言うことが、薬不足に繋がっているかもしれません。病院に頼りすぎず、自己管理を大切にしたいところです。